夜空の日記
『夜空の日記』といっても天体観測をする日記ではありません。 漫画や小説(ラノベ)やアニメについて色々書いたり書かなかったり。
我那覇響の初恋
 自分が初めて恋に落ちたのは、まだ小学校低学年の頃のことだった。
 いや、あれが本当に“恋に落ちた(Fall in love)”という表現で正しいのか、実はよく分かっていない。なぜならあの時の自分はまだずいぶんと幼く、また、あれから現在までに決して短くない時間が過ぎてしまっている。あの時自分が抱えたであろう感情を現在思い出してみても、だいぶ薄まってしまっていることだろうことを自覚している。
 それにあれ以降、自分は“恋に落ちた”と思えるような心情になることなく、現在まで年を重ねてきてしまったのだ。他にも恋をした経験があれば、「ああ、これが恋をするということか」と今ならば客観的に判断できると思うのだ。そしてその感情を参考にして、幼少期の自分の記憶から「嗚呼、やはりあれが恋に落ちるということなのか」とか「いや、あれは恋に落ちるとはまた違った感情だったのだ」と判断がつくことだろう。
 そして何よりも重要なのは、あの時の自分の恋は、結局かなうことはなかった。その胸の鼓動が本当に恋だったのかを確かめることも、その想いを言葉にすることも、伝えることもできなかったのだ。そう、だからあの時のことは、今までずっと心の中にしまっていた。今回その時のことをここに記そうと思ったのは、いつまでもあの時の感情を心の奥にしまっておいて、そのまま埃をかぶったまま忘れ去ってしまうことを恐れてのことなのかもしれない。

 自分が彼に出会ったのは、まったくの偶然だったと言っていい。
 その時、自分は日課だったペットのいぬ美の散歩に出かけていた。散歩コースは自宅の前の道からスタートして近所をぐるっと一周するだけの簡易なものだった。いぬ美は時々リードを振り切って全力で逃げることがあるけれど、基本的には歩幅の小さな幼い自分の歩くペースに合わせてくれるやつだった。よくできたやつだ。
 その日も道ばたに落ちていたラムネのビンにじゃれようとするいぬ美を無理矢理引っ張ったりしながら、ゆっくりと散歩コースを歩いていた。
 そんな時のことだった。自分が彼と出会ったのは。
 彼は道の反対側からこちらへと歩いてきていた。いぬ美は電柱にマーキングをしていた。最悪だ。リードを引っ張ると、いぬ美は「ワフッ」と抗議してきた。
 そしてこの時には既に自分は彼の魅力に取り付かれてしまっていた。つまりは一目惚れだったのである。
 凛々しい目つきに、シュッと高い鼻。スタイルもよく、身体は大きかった。男らしいワイルドなオーラが、全身から立ち上っているような感じだった。
 彼は自分とすれ違う時、チラッとこちらを見てきた。自分は幼心に胸がドキドキして仕方なく、彼の目をまっすぐ見ることができなかった。いぬ美は電柱で糞をしようとしていた。最低だ。リードを引っ張ると、いぬ美は「ボフッ」と抗議してきた。いぬ美が尻を上げた下には、引っ込みきらなかった糞が落ちていた。自分はこのとき初めて「みじめ」という言葉の意味を体感した。
 いぬ美の糞を持っていたビニール袋で処理してから振り返ると、そこにはもう既に誰の姿もなかった。自分は残念な気持ちになった。腹いせのようにいぬ美のリードを引っ張った。するとそのはずみに、いぬ美の首輪に引っかかっていたリードが外れてしまった。いぬ美は「自由だ~!」的なことを遠吠えしながら、一目散に駆け出した。自分も慌てて追いかけるが、しかしいぬ美の逃走劇はわずか数秒で終幕を迎えることとなる。
「おっと、」
 いぬ美は、駆け出した先に立っていた女の人に、簡単につかまっていたのだった。
「あら、大きな犬ねえ」
 自分は急いで追いついて、女の人が抑えてくれている間に、いぬ美の首輪にリードを取り付けた。いぬ美はもう逃げられないことを察したか、「ヴォゥフッ……」とうなだれた声を出した。
 自分は女の人にお礼を言ったが、彼女は急いでいたらしく、「もう逃がさないようにね」と言っただけで自分たちに背中を向けた。と、立ち去り際にこちらに振り返って、こう言った。
「ねえあなた。ここに来る時に光一見なかった?」
 誰? という自分の疑問が伝わったのか、女の人は光一とやらの特徴を言い直した。探しているのだ、とも。
 彼女の口にした光一とやらの特徴は、さっき自分がすれ違った彼のそれと一致していた。彼は光一という名前だったのか。そしてこの女の人が光一を探しているということは……
 つまり、そういう間柄なんだろうな、と思った。
 自分はせめてもの憂さ晴らしに、光一が去った方向とは逆の道を指差した。
「ありがとう」
 彼女は笑顔でそう言って去って行った。なぜだか自分の胸には空しさばかりが募っていた。
 その日自分はいぬ美の散歩コースに、いつもよりも遠回りになる道筋を選んだ。いぬ美は珍しい散歩コースに喜んでいたようだったが、自分はまったく喜べなかった。
 その日以来、自分は光一ともあの女の人とも会っていない。ちゃんと再会することができたのかすら、分からない。もしかしたら光一たちはたまたまこの近くまで遊びにきていただけだったのかもしれなくて、だとしたら、もう二度と会うことはないのだろう。
 そのような形で、自分の彼……光一への初恋は終わったのだった。



☆☆☆



「あれ? この雑誌、なんですか?」
 765プロの事務所内にて、雪歩が言った。彼女が指差した先には、ソファがあり、その上に一冊の月刊雑誌が伏せて置かれていた。表紙には日高舞が載っている。
 雪歩の問いに答えたのは、小鳥だった。
「ああ、それですか。この前響きちゃんが『琉球娘。』っていうタイトルで、沖縄出身の子たちの特集に呼ばれてね。その記事が載っている号なのよ」
「へえ~」
 その雑誌を手に取った雪歩は、伏せて開かれていたページを見る。そこにはよく見知った響の他、沖縄出身だという他事務所のアイドルの写真が載っていた。記事は十ページ程度で、写真ページとインタビューページに分かれている。インタビューは三人別々に扱われており、一人当たりのページの割り振りはちょっと短めではあった。
「うん、うん……うん?」
 と、そのインタビュー記事の後ろに、どうやら響の手記らしい文章が載っていた。見ると、他の子のインタビューの後にも、同様のものが載っている。共通テーマは「初恋」と書かれていた。どうやら自身の初恋についての思い出が、インタビューとしてではなく自らの文章で載っているらしい。響の欄を見ると、彼女の幼少期の思い出として、光一という男性との初恋がつづられていた。
 雪歩が響の「初恋」を読んでいると、その当人である響が事務所にやってきた。
「おはようございまーす」
「おはよう、響ちゃん。今日は午後からボイトレだからね」
「はーい」
 響は雪歩の対面のソファに腰を下ろして一息つくと、そこでやっと雪歩の読んでいる雑誌に気づいた。
「おっ。その雑誌、もう出てたのかぁ」
「う、うん。……ねえ、響ちゃん。この『初恋』のことなんだけど……」
「ああ、それなぁー」
 響は腕を組んで、胸を反らした。
「『初恋』って言われても、正直自分にはよくわからないんだよなー」
「う、うん」
 それは「初恋」の本文にも書かれていた。この時の気持ちが本当に恋なのかどうか、分からないと。
 でも。
「ねえ、響ちゃん」
「ん?」
「この光一さんのことを見たとき、響ちゃんは、ドキドキ……した?」
 雪歩は自分のことでもないのになんだか恥ずかしくなって、顔を赤らめた。一方の響は、
「うん。したぞ」
 なんてことないように言うのだった。
 雪歩は胸の前で両手をぎゅっと合わせて言った。
「だったら……それはちゃんと“恋した”んだと、思うな。だって、ドキドキしたんでしょ? だとしたら、それは恋なんだよ。深く考えなくても、ドキドキしたら恋なんだよ。簡単、だよ?」
 雪歩は自分の思うことを精一杯伝えようとする。多少たどたどしくても、彼女の言いたいことは、ちゃんと伝わる。響はニカッと笑った。
「ああ、ありがとう。雪歩」
「うん……」
「そっかー。あれは恋だったんだなー」
「うん、そうなんだよ」
「そっかー。人間って、犬に対しても恋できるんだなー」
「うんうん。犬に対してもできるよ。……犬?」
「え? うん。犬。ゴールデンレトリバー」
「……え?」
「え?」
 雪歩は慌てて雑誌に目を落とし、彼女の手記「初恋」を読む。そこには彼女の幼少期の思い出として、光一という男性との初恋がつづられていた。そしてそこには、「光一は人間である」とは一言も書かれていなかった。
 わけがわからない、という感じで目をグルグルにしている雪歩にはまったく気づかず、響は笑って言う。
「いやー、最初はカッコいいゴールデンレトリバーだったからドキドキしだけかと思ったんだけど、あれって恋だったんだなー。どうしても『初恋』ってテーマで書けなかったから無理矢理それっぽくしたんだけど、あながち間違ってなかったんだなー」
 間違ってる! ごめん、間違っているよ響ちゃん!
 雪歩はそう言いたかったが、ふと気づいてその言葉を喉の奥に押し込んだ。
 彼女が口にしている初恋の思い出こそ犬に対するものだったけれど、それでも今の彼女の表情は、ちゃんと恋するオンナノコの表情をしていたから。
 だから……もしかしたら、本当に間違っていなかったのかもしれないね、なんて。雪歩はそう思うことにしたのだった。
 願わくは、響が次にまた恋をするようなことがあったとき。その時はちゃんと人間が相手で、ちゃんとその想いの正体に気づけて、……そしてその恋がかないますように。
 そんなことを思いつつ、雪歩は事務所のみんなにお茶を淹れようと席を立った。



(おしまい)
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アイドルに野球をやらせてみた
小鳥「生存戦略、しましょうか」

伊織「えっと……いきなりそんなこと言われても、ちょっと困るんだけど」
千早「いきなり集められて何かと思えば……なんですか、生存戦略って?」
小鳥「まぁ、とりあえず聞きなさい。アイドルというものは、一瞬を光り輝く存在。そんな一瞬に全力を尽くして駆け抜けているアイドルが、流行り廃りの激しい業界を生き残るのは非常に難しいの」
千早「まぁ、わかりますけど」
小鳥「そこであなたたちには、アイドルとして業界を生き抜いてもらうために、ある修行を科したいと思います」
やよい「修行って、なんですかー?」
小鳥「ふっふっふ。まずはこのVTRをご覧ください」
律子「どうでもいいですけど、今、小鳥さん、かなりのめんどくさい人ですよ?」

(プロジェクター稼働。画面にプロデューサーが映る)

P『用事ってなんですか、小鳥さん? え、この文章を読め? えっと……“やっぱり女性は家庭に入るべきだと思いますね。女性に学歴なんて関係ないじゃないですか。”……これでいいんですか? あの、小鳥さんこれってなん』(ブツッ)←暗転

(プロジェクター停止)

全員『…………』
小鳥「分かったわね?」
全員『全然わかんねえよ!?』
小鳥「とにかく。我々アイドルは、」
律子「あなたアイドルじゃないでしょ」
小鳥「いつ何時、“女性は家庭に入るべきだ”と言われることになるかわかりません」
千早「いや、平成の世の中なんですが……」
小鳥「そこで、そんなふうに価値観を押し付けてくる男性に対抗するためにも、我々は野球をしなければならないの」
律子「何故に野球を!?」
小鳥「男の人は野球が好きだからです。野球を立派にこなせれば、文句は言えないでしょう」
千早「いや、いくらなんでも論理に無理が……」
春香「でも、今だった野球じゃなくてサッカーでもいいんじゃないですか?」
小鳥「サッカーはダメよ。女の子がサッカーなんかしたら、完全になでしこの影響受けたなって感じじゃない」
全員『えぇ……』
律子「ていうか、最初はアイドルが業界を生き抜くとかいう話だったわよね? いつの間にか話が変わってない?」
小鳥「……まぁ、とっ散らかった理屈はここまでにして」
伊織「とっ散らかってるって認めちゃったわよ、この人!?」
小鳥「とにかくみなさん、野球をしましょう!」



『アイドルマスター』×『大正野球娘。』=『大正野球アイドル。』

アイドルに野球をやらせてみた。



小鳥「それではさっそく、スタメンを発表するわよ!」
真「いきなり!? 練習とかはしなくていいんですかっ!?」
小鳥「そんな暇はないわ。三十分番組なんだから」
真「番組!? これ、番組の企画なんですか!?」
小鳥「それではまず、一番打者からいくわね」
真「うわぁ、あずささん以上のマイペースだああ……」
あずさ「あらあら」
小鳥「一番、サード、如月千早」
千早「私ですか」
小鳥「二番、セカンド、四条貴音」
貴音「セカンド、とは……どこを守れば良いのでしょうか?」
小鳥「三番、ショート、菊地真」
真「あの、貴音さん……、それ本気で言ってます?」
小鳥「四番、センター、我那覇響」
響「なんくるないさー!」
小鳥「五番、ファースト、星井美希」
美希「はふう……。そんなことより、美希はとっても眠いの……」
小鳥「六番、レフト、双海亜美」
亜美「はーい! 亜美めっちゃがんばるー!」
小鳥「七番、ライト、双海真美」
真美「はーい! 真美も負けないよー!」
小鳥「八番、キャッチャー、秋月律子」
律子「私もやるんですか……」
小鳥「九番、ピッチャー、天海春香」
春香「わ、私がピッチャーやるんですか!?」
小鳥「以上のメンバーがスタメンよ! みんな、芸能界を生き抜くために、がんばって野球をするのよ!」
律子「小鳥さんの思考回路はショート寸前なのかしら?」
伊織「ショートしちゃってるんじゃないの?」
真「ていうか……。野球をするなら、対戦相手が必要ですよね? いるんですか、対戦相手?」
小鳥「えぇ。小鳥さん、がんばって対戦相手を探してきました」
律子「や。そんなことする暇があるなら、仕事を片付けてほしいなって」
小鳥「皆さんの対戦相手は、櫻花會の方々が引き受けてくださることとなりました」



(所代わって、神宮球場)
小鳥「ここが765プロと櫻花會の試合の行われる球場よ」
真「櫻花會って、女子野球界の代表的球団じゃないですか……。強打者や俊足野手を抱える怪物球団ですよ?」
雪歩「詳しいんだね、真ちゃん」
真「えへへ、まあ……」
小鳥「さあ。765プロのみなさんには、ユニフォームも用意しましたからね」
律子「あっ! 先月謎の領収書が会計に回ってたけど、あれ、小鳥さん!? 予定になかった費用を、勝手に使わないでくださいよ!」
小鳥「じゃーん! これが皆さんのユニフォームでーす!」
(小鳥、赤いユニフォームを見せる)
春香「赤いですね」
やよい「赤いですー」
伊織「赤いわね」
真「ここ、神宮球場ですよね!? なんでカープのユニフォームなんですか! 既存球団のを流用するなら、せめてヤクルトでしょう!」
小鳥「……今日は、天気がいいですね」
真「あからさまに話をすり替えに来た!? しかも下手くそすぎますよ小鳥さーんッ!」
小鳥「まぁ、簡単に言うなら……企画者の趣味?」



(櫻花會の代表とご挨拶)
小鳥「こちらが本日765プロの相手をしていただける櫻花會の監督さんと、チーム代表者の方です」
アンナ「どうも。櫻花會の監督を務めております、アンナ・カートランドと申します」
乃枝「はじめまして。チーム代表の川島乃枝です」
春香「あ、はい! えと、765プロの代表・天海春香と申します! よろしくお願いします!」
アンナ「よろしく。本日は良い試合をしましょうね」
春香「はい!」



(スターティングメンバー)
765プロ
1(三)如月千早
2(ニ)四条貴音
3(遊)菊地真
4(中)我那覇響
5(一)星井美希
6(左)双海亜美
7(右)双海真美
8(捕)秋月律子
9(投)天海春香
櫻花會
1(中)菊坂胡蝶
2(ニ)宗谷雪
3(遊)石垣環
4(三)月映巴
5(一)月映静
6(捕)鈴川小梅
7(投)小笠原晶子
8(左)桜見鏡子
9(右)川島乃枝



(プレイボール寸前)
春香「はあ……なんで私がピッチャーなんて……やったことないのに」
小鳥「心配いらないわ、春香ちゃん」
春香「小鳥さん」
小鳥「あなたはアイドルよ。それも、我が765プロが推す、一流のアイドル」
春香「一流の……アイドル……?」
小鳥「そう……。一流のアイドルは、野球のピッチャーくらいお手のもの!」
春香「……そうですよね。だって私、アイドルですもんね。分かりました。私、やってみます!」
小鳥「春香ちゃん!」
春香「小鳥さん!」
律子「……何やってんの、あの子らは?」
伊織「もう、放っときましょうよ」



(プレイボール)
(1回の表、櫻花會の攻撃)
真「よっしゃー! しまってこうぜー!」
千早「あれだけ文句言ってたのに、いざ始まると一番気合い入ってるわね……」
ウグイス嬢『一番、センター、菊坂』
春香(大丈夫。ピッチャーをやるのははじめてだけど。アイドルは、何だってできる。自分を信じなきゃ!)
胡蝶(あの投手の気合い……相当だわ。これは気合い入れていかないといけないかも……)
春香「いきます! これがアイドルの底力です!」

……

球審「ボール。フォアボール」
全員『春香ぁぁぁああああ!!!』
春香「あっれー? (のワの;)」
ウグイス嬢『二番、セカンド、宗谷』
真「落ち着け、春香! じっくりストライクゾーンを狙っていくんだ!」
春香「ふう……(大丈夫。まだ最初のランナーが出ただけ。今のは、ちょっと緊張してただけよ。よし、次こそは……)」
(春香、大きく振りかぶる)
春香「(よし……今回はイケそう……って!?)きゃあっ!」
(春香、バランスを崩す)

ドスッ。

球審「……デッドボール」
全員『うわあ……』
小鳥「ピッチャー交代。ピッチャー、天海春香に代わって、菊地真で」
春香「うわああん! ごめんなさいいいいッ!」



(守備位置交代)
765プロ
1(三遊)如月千早
2(ニ)四条貴音
3(遊投)菊地真
4(中)我那覇響
5(一)星井美希
6(左)双海亜美
7(右)双海真美
8(捕)秋月律子
9(投三)天海春香
櫻花會
1(中)菊坂胡蝶
2(ニ)宗谷雪
3(遊)石垣環
4(三)月映巴
5(一)月映静
6(捕)鈴川小梅
7(投)小笠原晶子
8(左)桜見鏡子
9(右)川島乃枝

ウグイス嬢『三番、ショート、石垣』
真(ノーアウトでランナーは一塁、二塁か……。いきなりピンチだな。しかも相手は高い打率を誇る石垣選手……。最初っから全力でいかせてもらいます)
(真、1球目。左下ストライクゾーンギリギリに決め、ワンストライク)
春香「きゃーっ、真、すごーい!」
環「ふむ。今度の投手はなかなかやるようじゃないか」
律子「真はなめてかからない方がいいですよ。765プロの中でも抜群の運動能力を誇りますから」
環「そうか。だが、単純な運動能力の高さだけでは、野球は勝てないぞ」
(真、2球目。今度は内角の低めへストレート。環はバットを振るがファールとなって、ツーストライク)
環(確かに球は早いようだが……反応できない速度ではない。今度は仕留める)
真「……」
(真、3球目。超スローボール)
環「な、なにぃ!? 遅おっ!!」
(バットを出していた環、超スローボールの上部をバットがかすめ、セカンド貴音の前へ)
(貴音は難なくゴロを捕球し、二塁ベースカバーに入った千早へ送球。それを捕球した千早は、すぐさま一塁の美希へ送球し。ダブルプレー成立。ツーアウトランナー三塁)
伊織「あら、二つもアウトが入ったの? すごいじゃない!」
やよい「すごいですぅ!」
環「くっ……所詮シロートだからと甘く見すぎた。全球速球かと思ったのに……」
真(さて、これでアウトは二つ稼げたが……ランナーは三塁。しかも、バッターは……)
ウグイス嬢『四番、サード、月映巴』
真「四番打者……か」
巴「バッチこーい!」
(真、速球を外角低めへ投げ、巴は見送りストライク。続く高めの釣り球を見逃し、ワンボールワンストライク)
巴「なるほど。確かに球は早い。打席に立って見ると、もっと早い……。けれど……」
(三球目、真の外角低めのストレートにフルスイングする巴)
カキンッ!
真「!」
(巴の放った打球は悠々柵越え。ホームラン。櫻花會の先制で、0対2)
巴「残念。私が戦ってきたピッチャーの球は、もっと速かったよ」
(マウンド上の真に駆け寄る律子)
律子「大丈夫? 真」
真「あぁ。見事なホームランだったね。まさかあんなに飛ぶとは。さすがは四番打者だ」
ウグイス嬢『五番、ファースト、月映静』
律子「……この後は、どうする?」
真「次もクリーンナップの一角だ。一番~四番打者の存在感が大きすぎて置物呼ばわりされてはいるが、打点は高い。油断せずしっかり抑えよう」
律子「……そうね」
(真、この後の静をレフトフライに沈め、スリーアウトチェンジ)
静「な、ナレーションベース!? 屈辱な……」



(1回の裏、765プロの攻撃)
ウグイス嬢『一番、ショート、如月』
響「千早ー! 塁に出るんだぞー!」
雪歩「千早ちゃん、がんばって~!」
千早「一番打者というからには出塁を期待されてるんだろうけど……野球なんて体育でしかやったことないわよ……」
晶子「お手並み拝見、といきますわ」
(晶子、1球目。ストライクゾーンギリギリに決まるストレート。千早見逃しでストライク)
千早(……そんなに速くない? コントロールの上手さはともかく、球速だけなら真の方が速いんじゃないかしら?)
(晶子、2球目。今度は内角のストレート。千早再び見送り、ツーストライク)
千早(この速さなら、もしかしたら私でも打てるんじゃないかしら?)
(晶子、第3球は外角へ。千早はバットを出すが、ボールの軌道が変わり、空振り三振)
千早「な……!」
真「あの変化は……シンカーか!?」
晶子「ふふふ……男子たちをも苦しめた、伝家の宝刀ですわ。今宵のしんかぁは、血に飢えておりますわ」
(その後、2番貴音もあっさりショートゴロに倒れ、ツーアウト)
貴音「あの打とうとすると落ちる球……なんと面妖な。あれでは容易には打てませんね」
真「分かってます。ですが……人が投げる球なんですから、付け入る隙は必ずあります」
ウグイス嬢『三番、ピッチャー、菊地』
(晶子、1球目はストレート。真はバットを出してファール。続く2球目もファール。3球目はボールで、4球目もボール。5、6球目はファールで粘り、7球目はボール。フルカウント)
晶子「くっ……しぶといですわね!」
真(ここまで7球粘って、そろそろバッテリーは勝負を決めに来たいはず……。だとしたらシンカーを投げてくるとしたら……ここだ)
(晶子、8球目。シンカー)
キィンッ!
響「打った!」
伊織「打ったわ!」
やよい「打ちました!」
真「どうだ!?」
(真、晶子のシンカーを捉えるが、飛距離が伸びずセンターフライ。スリーアウトチェンジ)
晶子「危ないところでしたわ……」
小梅「抑えたんだから気にしない」



(2回の表、櫻花會の攻撃)
(先頭打者小梅をレフト前ヒットで出すが、続く晶子、鏡子、乃枝を打ち取り、スリーアウト)
小梅「あれっ!? 私打ったのにナレーションベースだ!?」



(2回の裏、765プロの攻撃)
(晶子のシンカーを絡めたピッチングに翻弄され、響、美希、亜美、と三者凡退)
美希「美希、眠くなってきたの~……」



(3回の表、櫻花會の攻撃)
ウグイス嬢『一番、センター、菊坂』
真「一番打者か。前回は春香のヘボピッチングでフォアボールだからな……。少なくとも悪球を初球打ちしてくるタイプではなさそう、か。様子見はいらないな」
(真、1球目。内角高めのストレート。胡蝶はセーフティバントを敢行。弾かれたボールは三塁方向へと転がり、慣れない内野陣が処理に手こずり、一塁に悠々セーフ。ノーアウト一塁)
ウグイス嬢『二番、セカンド、宗谷』
真(さっきの打席は、春香のデッドボールだったか。その後も普通にプレーしてるから、デッドボールの影響は無さそう……か)
(真、1球目、ストレート。雪が真っ直ぐ振り抜いた打球は、サード春香の方へ)
春香「え?」
真「春香! グローブを前に出して!」
ズバッ!
春香「……え? え?」
(春香、サードライナーをキャッチ。ワンナウト一塁)
雪「……ち」
律子「え? あの、今、舌打ち……?」
雪「あら、何のことです? うふふふ……」
真「怖い! あの人、目が笑ってない!」
春香「……え? な、何が起きたの、今……?」
ウグイス嬢『三番、ショート、石垣』
真(宗谷さんの報復?失敗でワンナウト。ここで石垣さんか……)
環「先ほどは油断していたが、今度はそうはいかんぞ?」
(石垣、ツーボールワンストライクの4球目をライトに運び、一塁ランナー菊坂は俊足を活かして一気に三塁へ。ワンナウト一塁三塁で向かえるバッターは……)
ウグイス嬢『四番、サード、月映巴』
巴「さあて、今回もいっちょホームランといきますか」
真「……させないさ」
(真、1球目。外角へのボールへ、巴はバットを出す。しかしボールはバットを避けるように曲がり、空振り)
環「何っ!? 曲がったぞ!?」
巴「……へえ、驚いた。あなたも魔球を投げられるのね」
真「ちょっと前に事務所で暇だった時に、プロデューサーさんに教えてもらってね。ただの暇潰しだったけど、思わぬところで役に立ったよ(本当はピンチの場面で使って驚かそうとしたんだけど……まさかこんな早い段階で使うことになるとはね)」
巴「そう。でも……」
(真、2球目。再びカーブ巴はバットを出し……)
カキンッ!
真「な……!」
巴「ちょっと曲がるくらいじゃ、私は抑えられないよ!」
(打球はライト真美の前方へ落ち、三塁ランナー胡蝶は悠々ホームイン。一塁ランナー環は一気に三塁へ。巴は一塁でストップ。0対3。ワンナウト一塁三塁)
真「3点差か……。これ以上取られたら、素人集団のボクたちが勝つのは……たぶん、無理だ」
律子「じゃあ、どうするの?」
真「抑えるんだよ。残りを。4点目はなにがなんでも阻止するんだ」
ウグイス嬢『五番、ファースト、月映静』
(真、カーブを織り混ぜてカウントを稼ぎ、ツーボールツーストライクに追い込む。しかし高めに浮いた5球目を静のバットがとらえ、打球はセンターへ)
(センター響、フライを処理し、ツーアウト。三塁ランナー環はタッチアップ)
真「響! 頼む!」
響「任せるさー!」
(響、ホームへ一直線に返球。捕球した律子と環のクロスプレー)
球審「……アウト!」
真「よし! よくやった響!」
亜美真美「「うおー! ひびきんすげー!」」
響「あっはっはー!」
(スリーアウトチェンジ。0対3)
環「……なんか今日の私は、いいところがないな」
静「私もよ」



(3回の裏、765プロの攻撃)
(765プロの下位打線の真美、律子、春香は晶子を攻略できず、わずか7球でスリーアウトチェンジ)
春香「それだけ!?」



(4回の表、櫻花會の攻撃)
真「もうちょい粘ってくれよ……。これじゃ休む暇もないな……」
(カーブを織り混ぜたピッチングに困惑する櫻花會打線も、小梅、晶子、鏡子と三者凡退し、スリーアウト。点差は依然3点差)
鏡子「この展開……もしかして私、今日活躍できない流れですか……?」




(4回裏、765プロの攻撃)
ウグイス嬢『一番、ショート、如月』
千早「ついに一人も打てないまま一巡してしまったわね……」
(千早、シンカーを打ち損じてショートゴロ。ワンナウト)
真「おいおい……。このままじゃあ、完封どころか完全試合になるぞ……」
貴音「どうすればあの投手を打ち崩せるのでしょう?」
真「そうだなあ……。ここまで失投がないわけではないから、ファウルで粘っていれば、1球くらいは打てるようなへなちょこボールが来るかもしれないけど……」
貴音「左様ですか。分かりました」
真「分かりました、って……?」
貴音「粘れば、よいのでしょう?」
ウグイス嬢『二番、セカンド、四条』
(貴音、初球をファウル。2球目ファウル。3球目ファウル。4球目ファウル。5球目明らかなボール球もファウル。6球目ファウル……)
キンッ。
審判「……ファウル」
響「す、すごいぞー貴音ー! 13連続ファウルだ!」
真「あれは……ファウルゾーンに無理矢理弾き出しているだけではあるけど……しかしまさかここまで粘るとは……」
小鳥「見てください。さすがに相手投手も苛ついてきたみたいよ」
真「あ、いたんですか?」
小鳥「いたんですよ。監督ですから、私」
晶子(なんですのなんですのなんですのこの女は!? どれだけ私の球をファウルにすれば気が済むんですの!?)
小梅(落ち着いて、晶子さん)←ジェスチャー
晶子(えーえ、落ち着いてますわよ小梅さん)←表情
小梅(……。と、とにかく、これは根気の勝負よ。幸いここまで全部ファウルだから、カウントは0‐2。次はストライクゾーンを外すシンカーで)←サイン
(晶子、首を振る)
小梅(……? じゃあ、同じコースでストレート……)←サイン
(晶子、首を振る)
小梅「えぇ……じゃあ、どうすれば……って、まさか晶子さん!?」
晶子「ふふふ……。その余裕の涼しい顔をしていられるのも、今のうちですわ」
貴音「?」
(晶子、14球目。ど真ん中。貴音は迷わずバットを出す)
貴音「!?」
(しかしボールはバットを避けるようにふらふらと変化。貴音は空振り三振)
小梅「あっ!」
(しかしキャッチャー小梅がボールを後逸)
真・響「「貴音、走れーっ!」」
(味方のその声を聞いた貴音は、迷わず一塁へ。ボールに追い付いた小梅が慌てて一塁に送球するが、セーフ。ワンナウト一塁)
やよい「やりました! 初めてランナーが出ました!」
雪歩「四条さん……かっこいいですぅ!」
響「……振り逃げで一塁は取れたけど……真」
真「あぁ。あの不規則は変化は、ナックルボールだ。……あれを使われたら、まず打てない。制球難から、使う可能性が低いってのが唯一の救いかな」
ウグイス嬢『三番、ピッチャー、菊地』
真(とにかく、やっと出した貴音さんをなんとか返すことだ。一点を取れたなら、流れはこちらに傾く……。ならばボクがやるべきことは!)
環「……む。あの構えは」
(真、バントの構えで打席に入る)
晶子「大事に一点を取りに行くということですの? ずいぶんと消極的ですのね」
真「そうでもないさ。点を狙いにいくんだから、積極的だろう」
(晶子、1球目。リリース直後、真はバントの構えからバットを引き、ヒッティング)
環「ば……バスター!?」
カキンッ!
(つまった当たりだったが、バント処理のために前進していた守備の間を抜け、転々とレフト前に転がりヒット。ワンナウト一塁二塁)
ウグイス嬢『四番、センター、我那覇』
響「よーし、自分に任せるんだー!」
亜美真美「「ひびきん、やっちゃえ→!」」
(櫻花會内野陣、ピッチャーマウンドに集まる)
小梅「晶子さん、落ち着いて。まだランナーは二塁だから。ここで抑えましょう」
晶子<言われなくとも分かってますわ、小梅さん!>←トゲのある言い方
小梅「あはは……」
晶子「とにかく、もうあんな小細工には引っ掛かりませんわ」
環「まぁ、落ち着け。ゲッツーを狙っていこう。基本的にはここまでちゃんと抑えられてきたわけだし、わざわざここで自滅してやることもないさ」
晶子「そうですわね……」
響「さあ、こい!」
(晶子、1球目。シンカー。響はバットを振るが、タイミングが合わず空振り)
響「うう~……やっぱ、タイミングが合わないぞ~……。どうしたらいいんだ……」
ハム蔵『……!』(←頭の上に乗っているが、響を操縦しているわけではない)
響「えっ? どうしたんだハム蔵?」
ハム蔵『……!』(←ハムスターって鳴くの?)
響「えっ、ハム蔵がタイミングを教えてくれるのか?」
ハム蔵『……!』(←アニメでの声優は中村繪里子さん)
響「よぉし、自分はハム蔵を信じるぞ!」
小梅(……この人、なんで一人芝居をしてるんだろう?)
(晶子、2球目。ストレート)
響(バットを出すタイミングはハム蔵が教えてくれる! だから自分は、とにかくボールを見ることに集中するんだ!)
ハム蔵『……!』
響「今だーーーーッ!」
(響、ハム蔵の指示通りのタイミングでフルスイング。ボールは左中間に落ちる)
響「よっしゃーーーーッ!」
(二塁ランナー貴音はホームイン。一塁ランナー真も迷わず三塁へ滑り込み、セーフ。打った響は一塁。1対3と初めて765プロに得点が入り、尚もワンナウト一塁三塁でバッターは五番、美希)
律子「あれ? 美希は? ネクストバッターズサークルにいない……って、ベンチで寝るなあ!」
美希「はふぅ。美希、もう退屈なの~……」
律子「……今のアンタは危なっかしいから、バット振らずに立ってなさい」
(晶子、半分寝ている美希を棒立ち三球三振。ツーアウト一塁三塁の場面。765プロベンチが動く……)
ウグイス嬢『六番、レフト、双海亜美に変わりまして、代打三浦』
春香「出たぁー! 代打の切札、あずささん!」
伊織「え、そんな異名あったの……?」
あずさ「お手柔らかにお願いしますね」
晶子(……代打、ですか。やっと掴んだチャンスをなんとかモノにしたい、ということですの? させませんわよ!)
(晶子、1球目。様子見のシンカー。あずさは空振りでワンストライク)
律子「あぁ、あずささんったら。あんなに大振りしちゃ……っていうか……」
伊織「ちょっと!? あずさったら、目ぇ瞑ってない!?」
晶子「ふ。目をつむりながらバットを振るなんて、どう見ても素人ですわ。本当にありがとうございました」
(晶子、2球目。高めの甘いボールも、大振りでストライク)
真「あぁ、あずささぁん……」
あずさ「あらあら。どうしましょう?」
(晶子、3球目)
あずさ「えぇ~いっ!」
晶子「!?」
(あずさ、メチャクチャに振ったバットがたまたまボールに当たり、たまたま一二塁間を破るタイムリーに。真はホームイン、響は二塁。あずさは一塁。2対3)
亜美真美「うお~っ! あずさお姉ちゃんすげ→!」
ウグイス嬢『一塁ランナー三浦に代わりまして、ピンチランナー高槻が入ります』
やよい「うっうー!」
晶子「くう~! (リードは)あと一点、あと一点ですわ!」(←地団駄)
小梅「落ち着いて、晶子さん! ここで心を乱したら、あちらの思うつぼよ!」
晶子「そうは言いましても……」
小梅「大丈夫。きっとうまくいくから。私を信じて!」
晶子「……わかりました。あと一点、なんとか守りましょう」
(なんとか立ち直った晶子、七番真美をサードゴロでスリーアウトチェンジ。765プロの追い上げはあと一歩届かず、2対3)



(4回裏と5回表の間)
小鳥「ここで皆さんに、残念なお知らせがあります」
真「え?」
小鳥「伊織ちゃん、あずささん、亜美ちゃんの三名は、この後ユニット“竜宮小町”としてのお仕事が入っているため、ここまでの出演となります」
真「ええーーーっ!?」
伊織「あら、やっと別の仕事?」
響「だから序盤だってのに、亜美にあずささんを代打に出したのか……」
真「いやいや、伊織とかまだ出てないのに、もう別の現場に行っちゃうんですか!?」
伊織「何言ってんのよ、真。この私が、あんな泥臭い仕事なんかするわけがないじゃないのよ」
真「これだから売れ始めのアイドルは!」
小鳥「まぁ、伊織ちゃんは打撃コーチとしてうまく働いてくれました」
真「コーチされてないよ! 全員独学のバッティングだよ!」
小鳥「ええと、それでは竜宮小町の皆さん。最後に何か告知とかあれば」
伊織「はい。来週の深夜に、あたしたち竜宮小町が主演を務めるミニドラマが放送されますので、もしよろしければご覧ください」
(画面下部に放送予定の詳細のテロップ。ワイプで先行映像が10秒ほど)
小鳥「というわけで、竜宮小町の皆さんでした~。ちなみに、プロデューサーの律子さんもここで退場でーす」
律子「お疲れさまで~す」
真「うわぁ、戦力ダウンだよ……この試合、どうなるんだ……?」



(守備位置交代)
765プロ
1(三遊捕)如月千早
2(ニ)四条貴音
3(遊投)菊地真
4(中)我那覇響
5(一)星井美希
6(左)双海亜美
  打 三浦あずさ
  走三 高槻やよい
7(右左)双海真美
8(捕)秋月律子
  右 萩原雪歩
9(投三遊)天海春香
櫻花會
1(中)菊坂胡蝶
2(ニ)宗谷雪
3(遊)石垣環
4(三)月映巴
5(一)月映静
6(捕)鈴川小梅
7(投)小笠原晶子
8(左)桜見鏡子
9(右)川島乃枝



(5回の表、櫻花會の攻撃)
(9番乃枝はセーフティバントを慣行するがサード方向に打ち上げてしまい、代わったサードのやよいが飛び込んでキャッチ。ワンナウト)
(1番胡蝶も3球目を打ち上げてしまい、ツーアウト)
ウグイス嬢『二番、セカンド、宗谷』
真(ここで宗谷さんか……。前回打席では春香への報復失敗……。さすがに今回は無いとは思うが……念には念を入れておくか)
小鳥「内野陣! 例のアレよ!」
乃枝「例のアレ? って、何かしら?」
環「あぁ! アレは……!」
(ファースト美希はセカンドの守備位置へ。セカンド貴音がショートの位置を守り、ショート春香はサード寄りの守備位置へ。サードやよいは三塁ベース付近)
環「アレは……“お雪シフト”だ!」
乃枝「な、何よ、それ……?」
真(宗谷さんが右打ちであることも考慮しての特別守備位置だ。無いとは思いたいが……もしまた宗谷さんの報復ライナーが春香の方を襲えば、即座にやよいと貴音さんがフォローに入れる、はず……)
雪「……」
真「いざ勝負!」
春香「さぁこぉい!」(←腰が引けてる)
(真、1球目、ストレート。雪はがら空きの一ニ塁間を破る流し打ちでヒット。ツーアウト一塁)
真「そりゃあ、そうだよなあああ!!」
春香「よ……よかったあ~。いや、ヒットを打たれたからよくはないけど、よかったあ……」
雪「報復というものは、相手が警戒していないからこそ為し得るもの。最初の奇襲に失敗した時点で、二度目は無いのよ」
美希「なんか、この人のいるベースを守りたくないの……」
ウグイス嬢『三番、ショート、石垣』
(真、フルカウントまで追い込むが、7球目がわずかに外れ、フォアボール。ツーアウト一塁二塁。この場面で千早はマウンドへ……)
ウグイス嬢『四番、サード、月映巴』
千早「敬遠よ」
真「……やだよ」
千早「なぜ? 相手は四番打者で、しかもここまで二打数二安打、うちホームランが一本よ? 所詮素人のバッテリーじゃ、まず抑えられないわ」
真「そんなの、やってみなきゃわかんないよ」
千早「分かるわよ。相手は四番なのよ? 巨人ならラミレス、オリックスならT‐岡田、西武なら中村なのよ? あなた抑えられるの? 中村を抑えられるの?」
真「そりゃ……無理だけどさ。でもランナーいるし」
千早「満塁にしてでも避けるべき相手よ」
真「でも打たれっぱなしじゃあ……」
千早「真。野球はチームプレーなのよ。あなたの負けん気は結構だけれど、あなたのやるべきことは、四番を抑えることじゃないわ。櫻花會を抑えることなのよ。個人的勝敗にかまけて、チームを窮地に立たせる気?」
真「……」
千早「律子はどうだったか知らないけどね、今のキャッチャーは私なんだからね。私の言う通りになさい」
真「……分かったよ。敬遠しよう」
(真、4番巴を敬遠し、ツーアウト満塁。5番、月映静との勝負を選ぶ)
千早(ツーアウトながら満塁、ね。あれだけのことを言ったのだから、この静さんはなにがなんでも抑えないとね)
(真、1球目。外いっぱいのカーブでストライク。続く2球目はスローボールが外れてボール。3球目、ストレート)
カキンッ!
千早「打たれた!」
真「ライト……は、まずいーーー!」
(打球は高く上がりライトへ。走者は一斉スタート。そしてライトの守備位置には雪歩)
雪歩「ひぃぃぃぃっ!」
響「雪歩、どっけええええええっ!!!」
(響、全力疾走で踏み切り、半ば雪歩にぶつかるような形で飛び込む)
雪歩「ぎゃふっ」
響「あがっ!」
(二人でもつれあって転ぶ)
晶子「ボールは!? ボールはどうなりましたの!?」
(ややして響が高々と掲げたグローブの中には、すっぽりとボールが収まっていた。スリーアウトチェンジ)



(5回の裏、765プロの攻撃)
(8番、雪歩。あっけなく空振り三振。ワンナウト)
雪歩「守れないし打てもしない……。こんな何もできない子なんて……穴掘って埋まってますぅ~!(ザクザク)」
響「わあああ、やると思ったぞ~!」
春香「雪歩、落ち着いてえ~っ!」
(続く9番春香も当然のように凡退し「扱いがひどい!?(春)」、ツーアウト)
(1番千早は粘ったものの、インコースのシンカーを見逃し三振。スリーアウトチェンジ)
千早「まぁ、なんでも……………………よくない。これはなんでもよくないわ……」
真「? 千早ー、早く守備つけー」



(6回の表、櫻花會の攻撃)
(小梅、晶子、鏡子、三者凡退)
鏡子「手抜きにも程が!」



(6回の裏、765プロの攻撃)
(2番貴音は前打席と同じくファウルで無理矢理粘る作戦。しかし今回はナックルボールを引っ張り出せず、12球粘ったところでピッチャーゴロに倒れワンナウト)
晶子「はぁ……はぁ……。つ、次の打席では、デッドボールで一球で片付けますからね!?」
小梅「晶子さんキレないでー!」
(3番真、4番響も再び晶子を打ち崩すことができず凡退。スリーアウトチェンジ)



(7回の表、櫻花會の攻撃)
(9番乃枝は自動アウト「こらこら(乃)」)
(1番胡蝶はフォアボールで出塁。ワンナウト一塁)
ウグイス嬢『二番、セカンド、宗谷』
春香「ね、ねぇ真……宗谷さんシフトは……?」
真「前回思い切り流し打ちされたんだから、もういいだろ。もしまたライナーが飛んできたら、全力で捕れ」
春香「工工エエェ(´Д`)ェエエ工工」
(2番雪は初球を送りバント。打球はサードやよいの前へ。うまく捕球し一塁に送球、アウト。ツーアウトランナー二塁)
ウグイス嬢『三番、ショート、石垣』
千早「ここが踏ん張りどころよ、真!」
真「わかってる!」
(真、ストレートとカーブで追い詰めるが、フルカウントになるまで粘られる。そして7球目、ストレートを弾き返される)
真「しまった……!」
(打球はショート春香の横を抜け、レフト真美の前へ。胡蝶は三塁を蹴って本塁へ)
千早「真美、バックホーム!」
真美「あいあいさー!」
真「駄目だ、間に合わない……!」
(ホームへ向かっていた胡蝶、しかしホーム直前で、何かにつまずき減速)
真「は……?」
(その間にボールが返り、本塁でクロスプレー。判定は……)
球審「アウトォッ!」
真美「よしっ!」
環「な、なにぃ!?」
千早「ふう。……? ……!」
(千早、何かに気付くと、他者に気づかれないよう、さりげなく足元の地面を二度三度蹴り飛ばす)

環「おいおい、どうしたんだ菊坂。一気にホームまで駆け抜ければセーフだったぞ」
胡蝶「すいません……。それが、ホームの直前で何かにつまずいてしまって……」
環「何かに? そんなこと言ったって、グラウンドにつまずくような何かなんて……」

やよい「真美、すごいですぅ~!」
真美「いやぁ~、なっはっは……」
真「……千早、どう思う? さっきの菊坂さんの不自然な減速……」
千早「あぁ、あれね……。原因は分かってるわ」
真「え?」
千早「菊坂さんは、つまずいたのよ。ホームの直前で」
真「何に? グラウンドにつまずくような何かなんて……」
千早「それがあったのよ」
真「……?」
千早「雪歩が掘った穴よ」
真「……あぁ!」
千早「雪歩は五回の裏での凡退時に、まぁいつものように穴を掘ったわよね。さすがにすぐに取り押さえられたけど、ちょっとだけ掘ってしまった穴が、今まで放置されたままだったの。菊坂さんはそれにつまずいたってわけ」
真「……でも、それってバレたらまずくないか?」
千早「大丈夫よ。さっき気付いて、周辺の土をかけて証拠隠滅してきたから。幸い、大きな穴じゃなかったしね。向こうチームがいちゃもんつけてこない限りは、問題ないわ。……さぁ、七回の裏の攻撃にいくわよ」



(7回の裏、765プロの攻撃)
ウグイス嬢『五番、ファースト、星井』
美希「美希の出番なのー!」
千早「あ、起きたのね」
(美希、すいみん不足解消で元気溌剌。晶子のストレートをとらえてレフト前ヒット)
真「その元気……もっと序盤から見せてくれよ……」
(続く6番やよいは空振り三振。7番真美がフォアボールで一塁二塁にするも、8番雪歩9番春香が倒れて得点ならず)
晶子「はぁ……はぁ……」
小梅「大丈夫? 晶子さん」
晶子「ふふ、大丈夫ですわ……あと二イニング、あと、二イニング……」



(8回の表、櫻花會の攻撃)
千早「……どうする? 次は四番の巴さんだけれど」
真「あぁ、うん。……今が八回だから、たぶんこれを逃したらもう打席は回ってこないだろう」
千早「……」
真「だから最後に一打席だけ、リベンジをさせてほしい」
千早「……わかったわ」
ウグイス嬢『四番、サード、月映巴』
巴「……さすがに今回は敬遠はないわね?」
千早「えぇ」
巴「そう。では……」
真「ふぅー……」
(真、1球目。やや外寄りのストレート。巴は見逃してストライク)
(2球目。内寄りのストレート。巴はバットを振るが、切れてファウル)
真「……」
巴「……」
真「……(首を振る)」
巴「……?」
真「……(首を振る)」
巴(首を振ってる? キャッチャーの言うことを聞いていない……?)
真「……(うなずいて、うっすらと笑みを浮かべる)」
巴「……」
(3球目、外いっぱいのストレート。巴はバットを振り……)
カキンッ!
真「!」
千早「!」
巴「!」
(打球はセンター方向へ、高く高く上がっていく。センター響はゆっくりゆっくりと後退していき、フェンスに背中がぶつかり、)
ポスン。
(打球は響の上げたグローブの中にすっぽりと収まった。ワンナウト)
千早「……びっくりした。高く上がりすぎたせいで、飛距離が伸びなかったのね……」
巴「あははははっ!」
静「……ね、姉さん……?」
巴「あはははは! こりゃあ参ったね! はっはっは……」(ゆっくりとベンチへ戻る)
静「……?」
晶子「ど、どうしたんですの巴さん?」
巴「ふふふ。あのピッチャー、凄いね。もう八回だっていうのに、まだあれだけの球が投げられるんだ」
晶子「……」
巴「特に最後の一球さ。アレは今日一日の中で一番速かったんじゃない? 大したもんだね、やられちゃったよ。あっはっは……」
晶子「……」
(真、続く静と小梅もしっかりと打ち取り、スリーアウトチェンジ)



(8回の裏、765プロの攻撃)
(1番千早は、サードフライに倒れる。ワンナウト)
千早「……くっ!」
(2番貴音はまたしてもファウルで粘るが、)
晶子「そんなにして塁に出たいなら、出してあげますわ!」
小梅「晶子さん、キレちゃだめえええ!」
(晶子の7球目は貴音の腰にぶつかり、デッドボール。ワンナウト一塁)
ウグイス嬢『三番、ピッチャー、菊地』
真(……まぁ、貴音さんのやり方は極端すぎるけど、でもファウルで粘るという作戦は決して悪いものじゃない)
晶子「……はぁ……はぁ……」
真(試合はもう終盤戦だ。ピッチャーともなれば、もう既に体力はほとんど残っていないはず。……まぁ、それはボクも同じなんだけど)
(晶子、1球目。内角のストレート。真は見逃してストライク)
真(しかし終盤になってもこれだけの制球力をキープするとは……。素直に賞賛するに値するよ)
(2球目以降、真はファウルで粘る)
晶子「……はぁ……はぁ……。な、なんなんですのあなたたちは!? 何度も何度もファウルファウルファウル……きぃぃぃぃぃ!! こうなったら……こうなったらあの魔球しかありませんわああああ!」
小梅「晶子さんっ! 落ち着いてえええ! “あの魔球”って言っちゃってるよおおぉぉ!」
真「……まぁ、ナックルだろうね」
小梅「ほらあ! バレてる!」
晶子「バレてようが私の魔球は打てませんわ! 」
小梅「あああ、完全に壊れたあああ!」
晶子「来ると分かっていても打てないのがナックルですわ!」
(晶子、カウント2‐2の8球目、今日二度目のナックル。真はバットを振るが空振り三振。ボールはしっかりと小梅のキャッチャーミットの中へ。ツーアウト)
(しかしここまでの貴音と真の粘り作戦で晶子は体力を削られたか、4番響、5番美希がフォアボールとヒットで出塁。ツーアウトながら満塁の場面)
ウグイス嬢『六番、サード、高槻』
真美「やよいっちー! がんばれー!」
やよい「はい! がんばります!」
小梅「晶子さん……がんばって。ツーアウトだから、内野に転がすか、打ち上げさせれば……」
晶子「……はぁ……はぁ……」
(晶子、1球目。低めのボール球)
小梅(駄目だ……。明らかにボールに球威がない。うまく引っかけさせないと……)
(小梅、晶子に低めの外角を要求。晶子はうなずいて、投球)
小梅「……あっ!」
(しかしボールは制球がぶれてど真ん中へ。やよいはバットを思い切り振り抜き、)
カキンッ!
(一ニ塁間を抜けそうな当たりだったが、静が飛び込んでダイレクトキャッチ。スリーアウトチェンジ)
やよい「あぁ~……」
巴「さすが静! 攻撃でダメダメな分、守備で魅せようということね!」
静「姉さんうるさい!」



(9回の表、櫻花會の攻撃)
ウグイス嬢『七番、ピッチャー、小笠原』
晶子「……」
(真、1球目。カーブ。見逃してストライク)
晶子「どうして? どうして最終回だというのに、まだこれだけのキレのカーブが投げられるんですの?」
(真、2球目。ストレート。晶子は空振り)
晶子「どうして……私ですらこんなにも疲れているというのに……! どうしてあなたはこんな球を投げ続けられるんですの!?」
真「……簡単なことさ。」
晶子「……」
真「ボクは、ダンスをやってるからね」
晶子「……ダンス万能説……!」
(真、3球目。ストレート。晶子は空振り三振。ワンナウト)
晶子「……基礎体力の違いですのね。私ももっと体力をつけなければなりませんわ……」
(この後8番鏡子、9番乃枝が凡退。スリーアウトチェンジ)
(2対3で櫻花會リードのまま、ゲームは最終回の裏へ……)



(9回の裏、765プロの攻撃)
真「点差は一点。……されど一点。しかも打線は下位打線か。どうにか一人でもランナーが出てくれれば……」
ウグイス嬢『七番、レフト、双海真美』
(真美、初球から振っていくも、ショートゴロでワンナウト)
ウグイス嬢『八番、ライト、萩原雪歩』
(雪歩、5球目でボール球を振り、ツーアウト)
晶子「あとひとり……あと、ひとり……」
ウグイス嬢『九番、ショート、天海』
春香「どうしようどうしよう……私が凡退したら負けちゃうよお……」
真「春香! 頼む! なんとか出塁してくれ!」
響「頼んだぞ春香!」
春香「そ、そんなあ……」
晶子「ふふふ、ラストバッターですわね」
春香「……なんとかして塁に出ないと……!」
(晶子、1球目。シンカー。春香は空振りし、ワンストライク)
春香「ひええ……」
真美「はるるーん! ボールをよく見て!」
春香「ぼ、ボールをよく……?」
(晶子、2球目。ど真ん中ストレート。春香は見逃してストライク)
真「春香ー! ちゃんと振れー!」
春香「えぇ~!? どっちなの!?」
晶子「ふふ。最後……これで終わりですわ……」
(晶子、3球目)
真・真美・響「「「春香、食らいつけええええっ!!!!!」」」
春香「うわあああああっ!」
(ボールはシンカー。しかし春香は無理矢理食らいつき、なんとか前に弾き飛ばす)
春香「は、早く一塁に……」
(春香は急いで一塁へ。その間にショート環がボールに追いつき、捕球。送球の体勢に)
春香「早く、早く!」
真「駄目だ……間に合わない……!」
春香「そんな……!」

~~~~~回想~~~~~

私は天海春香です、イェイ♪
トレードマークは、頭のリボン♪
明るく前向き、遠距離通勤♪
一日一回転びます、イェイ♪

~~~~至、現在~~~~

ガッ。
春香「えっ」
(春香、転んでバランスを崩す)
全員『一日一回って、今かよおおおおおおおお!!!!!』
春香(やだやだ、ダメだ! こんな形で終わるなんて、絶対にやだぁ!!)
(春香、バランスを崩しながらも思い切り身体を伸ばし、一塁にヘッドスライディング。と同時にボールが送られてファースト静が捕球)
審判「…………セーフ!」
春香「……や、」
全員『やったー! よくやった春香ぁー!』
晶子「な、なんですってえ!?」
ウグイス嬢『一番、キャッチャー、如月』
千早(私は今日、ここまでノーヒット……。何にも結果を残せてない。だから、ここで打たなきゃダメなんだ!)
(千早、おもむろにバットで外野フェンスを示す)
巴「よ……予告ホームラン……?」
環「おいおい、本気か……?」
ブチッ。
小梅「あ」
晶子「ふふふ……ずいぶんとなめた真似をしてくださるじゃありませんの……」
小梅「晶子さん……いいえ、もう何も言わないわ」
(晶子、1球目、ストレート。千早は大振りしストライク。2球目も同様、ツーストライク)
響「ぎゃああ……あんな大振りじゃ駄目だ……」
真「……冷静な千早にしては、ちょっとおかしいな。……まさか、最初から打つ気なんかないんじゃ?」
響「え?」
晶子「ふふふ……あれだけの大口を言っておきながら、あっけないですわね。でも、これで終わりですわ!」
(晶子、3球目。千早はバットをそっと出し、セーフティバントを敢行)
晶子「なっ……!」
(大振りの意識のあった内野陣は一瞬反応が遅れ、巴がバントを処理する頃には千早も春香もセーフ。ツーアウト一塁二塁)
千早「誰もホームラン予告なんかしてないわよ? ただ、バットの取手を見てただけ」
晶子「こしゃくな……!」
ウグイス嬢『二番、セカンド、四条』
小梅「ここで晶子さんの天敵……」
晶子「……ねばり女!」
巴「晶子さんのネーミングセンスが小学生レベル」
晶子「うるさいですわ!」
(晶子、1球目はボール球。しかし貴音は食らいついてファウル)
晶子「……これはそういうゲームじゃないんですのよ!?」
貴音「理解しておりますが」
晶子「きぃっ! たまにはボールを前に飛ばしてみたらどうですの!?」
貴音「ボールを前に……」
(貴音、チラリと真を見やる。それに気付いた真は、うなずく)
貴音「そうですね。では、たまには……」
(晶子、2球目。内角高めのストレート。貴音は一気に振り抜く。打球はレフトへ)
晶子「な……!」
(レフト鏡子、飛び付くがボールは取れず。すかさずセンター胡蝶がフォローに入り、鏡子の取りこぼしたボールをつかんでバックホーム。春香はホームを狙おうとしていたが断念し、急いで三塁に戻る。ツーアウト満塁)
響「すげえなあ、貴音ぇ。ヒットを打てるなら、最初から打てばいいのに……」
真「ヒットを打てるのにファウルを打っていたわけじゃないさ。ファウルを打っていたから、ヒットが打てたんだ。貴音さんが今日一日で、どれだけあの投手の球を見てきたと思ってるんだ?」
ウグイス嬢『三番、ピッチャー、菊地』
響「さぁ、決めてくるんだ、真!」
真「おう、任せておけ!」
晶子「……これで最後になりそうですわね」
真「そうだね。お互い悔いの無いように……」
(晶子、1球目、ボール。2球目、ボール。3球目は外角の球を空振り、ストライク。4球目はボール。5球目は内角をファウル、ストライク。フルカウント)
晶子「……本当に粘り強い……! どうしてあなたたちは、そんなにも……?」
真「……アイドルは夢を売る職業だからね。奇跡を起こして、応援してくれてる皆に夢を見せなきゃいけないんだ」
晶子「……ふふ。我々野球選手も、アイドルを見習わなくてわね」
真「さぁ、来い!」
晶子「いきますわよ!」
(晶子、7球目。外角低めのストライクゾーンギリギリへ投げ込む。真はバットをフルスイング)
カキンッ!










試合結果

765プロ 2 ‐ 3 櫻花會

勝 小笠原晶子(1勝0敗0S)
負 菊地真(0勝1敗0S)

本塁打 月映巴(1号)



真「ごめん、みんな……せっかくお膳立てしてくれたのに……」
やよい「いいんですよ! 真さんはずっと投げっぱなしで疲れていたんですよ」
春香「そうだよ。それに最後のだって、あの打球に追い付いた菊坂さんがすごかっただけだよ」
真「ううう、みんなぁ~……」
千早「まぁ、素人の集団が本職にこれだけの接戦を演じたんだから、上々でしょう。やっぱりこういうのは、ちゃんと練習を積み重ねてきた人たちが勝つほうが、収まりがいいもの」
真「くっそー……次はちゃんと練習をして、今度こそ勝つぞ~!」
やよい「その意気です~! うっうー!」
小鳥「はーい、みなさんおつかれさまでしたー」
真「小鳥さん」
小鳥「今回はアイドルに野球をさせるとどういうことになるのかを検証してみたわけですが……予想以上の盛り上がりを見せてくれて、小鳥さんとっても嬉しいです」
真「はあ……」
小鳥「というわけで、この後皆さんで、打ち上げに行きましょう! 焼き肉屋さんを予約してありますからねー」
真美「うおーっ! ピヨちゃん、太っ腹ー!」
小鳥「うっふっふ。今回の焼き肉打ち上げのスポンサーさんは、プロデューサーさんですからね。お礼はそちらの方へ」



(765プロ事務所内)
P「へっくしょん! ……誰か噂でもしたかな……? それにしても……一人は寂しいなあ~」



(再び神宮球場)
小鳥「よかったら櫻花會の皆さんもご一緒にいかがですか?」
巴「いいんですか!?」
晶子「ふふ、せっかくですからご一緒して差し上げましてもよろしくてよ?」
小梅「勝ったから晶子さんも上機嫌だ~」
やよい「みんなで一緒にいきましょ~!」
小鳥「それでは皆さん、打ち上げの焼き肉パーティーへレッツゴー!」
全員『おーっ!!!!!』



(おしまい)




(蛇足的追記)
P「せめて、打ち上げくらいには呼んで下さいよ! なんですか、いきなり呼びつけて、会計だけをやらせるって!?」
小鳥「まあ、いいじゃない。今日はあの子たち、がんばったんだから」
P「しかも竜宮小町組までちゃっかり合流したそうじゃないですか……」
小鳥「あの子たちだって、序盤はがんばったんですよ~?」
P「うう……。事務所では寂しくて死にそうだったし、呼ばれてみればもう既に皆帰ってて小鳥さんしかいなくて、しかもスポンサー扱いだし……」
小鳥「まあまあ。じゃあ、この後一緒にどうですか? どこか近くの居酒屋で」
P「まだ食べるつもりなんですか!?」
小鳥「実はあたし、この後プロデューサーさんと一緒に飲みに行こうと思ってまして、あんまり焼き肉は食べなかったんですよね~」
P「……」
小鳥「お嫌ですか?」
P「……どうせそこでも、俺が会計持ちなんですよね?」
小鳥「もちろんっ」
P「はあ……。分かりましたよ。じゃあ、一緒に飲みに行きましょうか……どこがいいですか?」
小鳥「さっすがあ! 話が分かりますね、プロデューサーさんっ。ええっと、この辺りでしたら近くに……」



(おしまい)
「櫻花球宴」座談会
夏コミにて頒布されました、「大正野球娘。」の合同誌、「櫻花球宴」の通販をやっています。
総勢24名のたいやきファンが集まった、136頁の超ボリューム合同誌です。
興味を惹かれましたら、是非お買い求めください。
http://www23.atwiki.jp/taiyakidoujin/

ちなみにこの座談会は、「櫻花球宴」をテーマにしたものなので、「櫻花球宴」読了後に読んでいただけると、ありがたいです。





小梅「祝!『櫻花球宴』頒布開始~!」

説明しよう!
『櫻花球宴』とは、テレビアニメーション『大正野球娘。』が好きで好きでたまらない同士たちが集まって作ってしまった、超豪華な合同誌のことである。
(現在、通販受付中)

小梅「冬コミに続いて、夏コミでも私たちの合同誌が出るなんて、なんだかとっても嬉しいね!」
晶子「私たちの人気を考えれば、当然ですわ」
環「我々が人気を維持し続けられれば、アニメ第2期も見えてくるな」
雪「そうね。そして映画化なんかもされてしまうのね」
胡蝶「私たち、大忙しですね!」

小梅「で、これが問題の『櫻花球宴』なんだけど」
晶子「表紙はかどきちさんが担当しているのね」
静「味があって、良い表紙だと思うわ」
環「尾張の表情が良いな」
鏡子「私は小笠原先輩の表情が良いと思います!」
晶子「こ、この怒鳴っている表情が……ですの?」
胡蝶「いえなんというか鏡子はどんな表情をしていても小笠原先輩は素敵ですねと言いたかったわけで! そ、そうよね鏡子!?」
鏡子「は、はい! もちろんです!」
晶子「そうなの……?」
胡蝶「そ、それよりみなさん、早く中身も読んでみませんか!?」
巴「さんせーい!」
環「そうだな。そうするか」
乃枝「今回は私たちがどう描かれているのか、楽しみね」

2~3頁 ぽかえりさん「イラストレーション」

小梅「かわいい!」
晶子「櫻花會メンバーが勢ぞろいね」
胡蝶「やわらかい絵柄で、素敵です」
巴「扉イラストにぴったりのイラストね」
雪「2ページ目には、たいやきファンの切なる想いが……」
静「これを読んだ偉い人が、どうにかしてくれないかしらね?」

4~10頁 大正野球娘。場外乱戦!? 格闘司書さん直撃インタビュー

静「この企画は完全に同人誌の域を超えてると思うのだけれど……」
巴「完全に公式よね、もう」
胡蝶「このインタビュー記事で、たいやきの裏側をいろいろと知ることができましたね~」
環「しかし……よく“あんな質問”をぶつける気になったな。ある意味禁断の質問だぞ」
乃枝「ある意味このインタビュー記事のメインの質問でもあるしね」
晶子「といいますか……神楽坂さん、2ちゃんの書き込み見ていらっしゃったんですのね」
環「筒抜けだったんだな、全部」
小梅「合同誌第3弾では、神楽坂さんも招集できるといいわねっ!」
乃枝「ははは……自分で勝手にハードル上げちゃダメよ。第3弾があるかどうかすら決まってないのに……」
小梅「参加者はみんな乗り気だけどね。やるなら来夏かしら?って」

11~16頁 湖山信太郎さん 「似顔絵描くたび被害者増えるね」

環「これは……おもしろいじゃないか」
雪「そうね、ハイテンションで突き進む感じが、非常に好感が持てるわ」
晶子「小梅さんのお父さん~乃枝さん、の流れがとてもおもしろかったですわ」
小梅「ねぇ~。“許嫁”は笑っちゃったよね~」
静「シュールに笑わせるようなお話もいいけれど、やっぱり笑いの原点は勢いのある笑いよね。感服致しました」

17~22頁 ゆいれそさん 「大正野球娘。 逆襲の櫻花會」

小梅「晶子さんったら人騒がせよね」
環「まったくだ。自分の事情に他人をいちいち巻き込むものだから手に負えん」
雪「でも、岩崎さんとの関係は妬けちゃうわよね」
小梅「うん、かわいいよね」
環「うむ。人騒がせだが、かわいいな」
晶子「ちょ、ちょっと皆さんったら!」
乃枝「そして安定供給のお色気ね。100回合同誌出したら、100回パンチラを入れてくるような気がするわ」
胡蝶「ムネが……?」

23~26頁 きゅーちょーさん 「平成二十三年の野球娘。」

環「やられたなー。これは上手い。アイデアも良いし、それを活用したストーリーも良い。文章も読みやすい。見事だ」
雪「所々現実とリンクしている部分もあったりする点も、なかなかおもしろいわよね」
環「原稿執筆時期にはまだ“ アレ”は出ていなかったようだが、7月23日に“アレ”が初めて記録されたのも、偶然とはいえタイムリーな作品となったな」
鏡子「過去と未来を繋ぐ物語……。素敵ですぅ~~」
巴「でもさー、これ、平成二十三年には私死んじゃってるってことでしょー? 残念だなー」
静「……一応、生きている方が珍しいくらいの年齢なんだけどね……私たちの世代は……」

27~32頁 32歳・冒険者さん 「げんしじだいしゅりょうむすめ。」

晶子「これはどうですの、小梅さん?」
小梅「ノーコメントで……」
環「何を言うんだ、鈴川。おもしろいじゃあないか(にやにや)」
雪「そうよ。小梅さんのために作ってくれたものなのだから(にこにこ)」
小梅「うううー、おもしろい作品なのに、素直に良いと言えないよぅ~」
静「とりあえず、のえのえのゴーイングマイウェイな言動は、本物そっくりね」
乃枝「そうかしら。私、こんなに自分勝手だったかしら?」
8人(((そうだよっ! 特に漫画版はね!)))

33~35頁 まつうらさん 「イラストレーション」

鏡子「今回もきれいなイラスト、素敵ですぅ~♪」
胡蝶「宗谷先輩と石垣先輩のじゃれ合っているイラストは、二人の仲の良さがうかがえて、良いですね」
晶子「月映姉妹のイラストも、雰囲気がとっても素敵ですわね。互いが互いを想ってる様子がよく伝わってきますわ」

36~39頁 うのたけよしさん 「こちょこちょ胡蝶絶好調!」

環「ちょ……陸上の先生(朽方)ッ! 雰囲気は、それっぽい! でも……どこかが決定的に違う気がする! どうしてこうなった!」
雪「この漫画の雰囲気は好きね~」
静「とりあえず姉さんと鏡子ちゃんは、ちゃんと人の話を聞きなさいよ……」
鏡子「そ、それにしても胡蝶のバッティングフォーム、かっこいいですよね~」
静「こらっ、ごまかさないの! 胡蝶ちゃんがかわいそうでしょう!」
胡蝶「い、いえ……気にしてませんから。鏡子がアレなのはもう、ずっと前から知ってますし……」
鏡子「それはそれでひどいよぅ~」

40頁 けろさわさん 「魔球。」

環「鈴川! 絶対につっこむところは、そこじゃないぞ!」
雪「あれだけの威力の魔球が真横を突っ込んでいって、それでも微動だにせずコメントする小梅さん……さすがです」
巴「晶子さんは徹夜のおかしなテンションであんな魔球を作ったんだろうね」

41~43頁 ラゴプス鳥さん 「ほっとけないから~静さんと晶子さん~」

巴「静……あなた、いい子だったのね」
静「何よ、いきなり」
雪「私、知ってるわ。これ、ツンデレっていうのよね?」
静「な、何を……!」
胡蝶「この静先輩は萌えますね」
静「胡蝶ちゃん!? 何を言ってるのかわかってるの!?」

44~45頁 しうぼまんじゅうさん 「大正野球娘。 大爆笑!四コマ劇場」

巴「今回もクソピ節炸裂ね」
晶子「きぃぃっ! こんな扱い、認められませんわっ!」
胡蝶「もうすっかりキャラクターの個性が固定されてますから、安心して読むことができますよね」
静「自分の世界観を完全に築き上げているわよね」
晶子「しかし……いくら二次創作とはいえ、こんな扱い……」
環「往生際が悪いぞ、クソピ」

46~56頁 かどきちさん 「大正主役娘。」

静「野球が好きな人が描きましたって感じよね」
環「そうだな。全キャラクターそれぞれの個性がうまく描かれていて、個人的にはかなりおもしろかったぞ」
雪「そうね。たまちゃんの小説も、遂に合同誌に登場したしね」
環「そ、そこには触れないでくれ……!」
巴「で、オチはアニキっていうね」
乃枝「これは予想外だったわ。おもしろかったけど」

57~61頁 てさん 「探検お寺 水着ホームベース」

雪「水着ね。この合同誌、どちらかというと文章系の方がお色気成分が強いような気がするわ」
環「まあ、絵アリとナシとでは、お色気のアウトのラインが微妙に違ってくるからな」
鏡子「それにしてもこの小説は、全体を包み込んでいる空気がおもしろいですよね」
胡蝶「言い回しがおもしろかったり、かけあいそのものがおもしろかったりと、好感が持てる作品でしたね」

62-63頁 ゴマさん 「地獄のカワシマ」

乃枝「地獄のカワシマて……」
鏡子「私、見切れてます……」
環「わずか2ページで、これだけの存在感を見せつけられるとはな。恐れ入ったぞ」
巴「私、この『雪解け』のお話が好きだわー」

64-65頁 みゆ那さん 「カチューシャを攻撃したら……他」

小梅「宗谷さん、かわいいっ!」
環「うむ、そうだな」
雪「あら、たまちゃんだってかわいいわよ?」
環「たまちゃん言うな!(ばふっ!)」
雪「(パカッ。ぽよ~ん)」
環「……なんてこったい……」
乃枝「もう一本の方は、完全にアホの巴さんね」
巴「失礼ね」
静「『巴の脳内』の画が、シュールすぎなんだけど」

66-67頁 谷中ツバキさん 「みんな元気」

鏡子「たこ焼きを開発した我々に向かって、『うまーいたこ焼きの作り方教えたる』って……」
胡蝶「原作設定だけどね」
静「前回(麻布二十四景同人戯)でもそうだったけど、胡蝶ちゃんて辻○○関連だと、相当めんどくさい子になるわね」
胡蝶「ひ、ひどい……」
乃枝「みんな元気なようで、結構ね」

68-72頁 こーるまいんさん 「東鳥居坂町8番地らいふ」

胡蝶「これは興味深い記事ですね」
鏡子「私たちは、こういう学校で学んでいたんですね」
乃枝「モデルになっただけだから、そっくりそのままってわけじゃないけどね」
環「運動会のプログラムはおもしろいな。むむ、なにやら次回合同誌のアイデアが浮かんできたぞ。運動会で櫻花會メンバーが激突する話で……」
雪「たまちゃん、中の人の思考がダダ漏れよ?」
環「中の人などいない!」

73-82頁 masaraさん 「アニメの最終話の後のたまちゃんのお話」

環「あわわわわわ」
雪「あらあら。たまちゃんったら」
環「う、うわわ! み、見るんじゃないお雪ぃぃぃ!」
乃枝「乙女ねえ、たまちゃん。ふふ」
巴「どこであんな良い人と知り合ったのよ? 名前も知ってるみたいだし。あ、朝香の人とか?」

83-89頁 星野流人 「“巴さん”の分析(アナライズ)」

環「あちこち微妙にパロディを盛り込んでいるんだな」
雪「作者さんはそういうのが好きみたい」
小梅「前回全キャラ投入のお話にしたから、今回は一キャラにしぼって重点的に描いていく作品にしてみたみたいよ」

90頁 ポネクサンさん 「イラストレーション」

小梅「いいなあ~、これ。すっかり気に入ったわあ~」
晶子「みんな表情が生き生きしていますわね」
静「一年生コンビの笑顔が素敵ね」
環「これは……次回合同誌ではぜひとも電車のシーンを描きたくなるな!」
雪「あら。また中の人の思考が漏れてるわよ?」
環「だから、中の人などいないッ!」

91-96頁 源三さん 「3名様ご来店」

静「サブキャラ、合唱部にスポットライトを当ててきたわね」
小梅「櫻花會ユニフォームを着てる女子A、かわいいわね」
晶子「ちょっと小梅さん。視聴者の方々はともかく、せめてあなたくらいは名前で呼んであげなさいな」
小梅「そ、そうね……」
鏡子「それにしても、図書子さんといい、サブキャラ人気が高い作品なんですね」
小梅「そうね。こうしてほぼサブキャラだけでも見ていて退屈しないのだから。サブキャラでも、みんな魅力的なキャラなのね」

97-105頁 Mitchellさん 「大正模型娘。2ストライク」

環「相変わらず模型部の仕事はすごいことになっているな……」
雪「これはカラーで見たくなる出来ね」
乃枝「売れるわね、これ」
巴「ねえ、静? 私にも鈴川さんを自作できるかなっ?」
静「やめておきなさい。姉さんは不器用なんだから」
小梅「でも自作したくなるって気持ちは分かるなあ。一体くらい、私も作ってみようかな?」

106-117頁 さむはらさん 「怪奇!怒リノカラクリ人形の巻!!」

乃枝「好きだわ、こういうの。小ネタ満載で、読んでてとても楽しいわ。文字とコマがいっぱい詰まってる漫画って、やっぱり凄く好き」
環「月映姉が考え事をしているだけで、月映妹はあれだけ大ショックを受けるのか……」
巴「私だって考え事くらいするのに」
静「それにしたって、いきなりソクラテスの話なんかされたら……驚きすぎて死ぬかと想ったわ。本当に翌日、雨降ったし」
環「そして桜見も、月映姉に負けず劣らずの残念さだな」
胡蝶「(巴先輩のことに関してだけは)頭の回転は早いんですけどね」
静「0.2秒て……」

118-126頁 MO-85さん 「補遺 日米女子野球小史」

巴「す、すごい……」
乃枝「これは……ものすごいわね」
小梅「なんていうか、普通にこういう内容の新書が売られていても、全然違和感がないよね」
晶子「そうですわね。内容も非常に興味を惹かれるものでしたし。私たちは実際にこうして野球をしているわけですけれど、その始祖がどのようなものであったのかとか、そういう詳しいことは実はほとんど知らないんですものね」
静「やっぱりこういう重厚感のあるものを読むと、結構満足するわね」

127-131頁 大喜利ダブルヘッダー

小梅「今回もおもしろい大喜利だったわね」
巴「柳さん、大活躍だったしね!」

132-135頁 櫻花球宴ロッカールーム

小梅「みんな個性的なあとがきを書くのね」
晶子「イラストから文章、キャラの座談会、掌編小説、ねんぷちまで……みなさんの愛情がダイレクトに伝わってきますわ」



乃枝「さて、ここからはオリジナル企画『大正野球娘。 合同誌キャラクター登場回数ランキング』を発表するわよ」
晶子「なんですの、それは?」
乃枝「まあ、概要はタイトルから分かるように、合同誌で誰がどのくらい描かれたかを計測するって企画よ。ちなみにこれが前回(「麻布二十四景同人戯」)の結果ね」

全19作品(インタビュー、考証記事など除く)
1位/小梅(15回)
1位/胡蝶(15回)
3位/巴(14回)
4位/晶子(12回)
4位/静(12回)
4位/環(12回)
4位/鏡子(12回)
8位/雪(11回)
8位/乃枝(11回)
10位/記子(10回)
11位/アンナ先生(8回)
12位/三郎(3回)
13位/岩崎、高原、柳、北見、松坂、洋一郎、○○中学の○○、沢村、図書子(1回)

乃枝「登場回数のカウントは星野さんの一存で決まるわ。一応、漫画・イラストでは姿が描かれているか、喋り声があればカウントされてるわよ。小説では台詞があるか、“そこにいる”という描写があればカウントよ。模型記事は、写真が載ってればカウント。ささっと計測したから見落としやカウントミスがあるかもしれないけれど、それは見逃して頂戴ね。で、第1回の結果は予想通り、櫻花會>記子・アンナ>男子・その他 という順位だったわね」
小梅「三郎さんは、男子1位よ!」
静「三郎さん以外の男子は奮わず、朝香中は惨敗ね」
胡蝶「沢村とか、○○中学の○○さんって、誰ですか?」
乃枝「それはゲストキャラね。前巻を読んでれば分かるわよ」

胡蝶 4回
巴 3回
鏡子 3回
小梅 2回
静 2回
乃枝 2回
記子 1回

鏡子「これは何ですか?」
乃枝「これは前述の登場回数から、“メインとして描かれた回数”ね」
胡蝶「つまり、単純な登場回数ではなく、より重点的に描かれた回数、というわけですか」
乃枝「そう。メインメンバーの大い作品の性質上、全キャラを登場させた人が多かったからね。特に四コマを描いた人なんか。だからこれは、“一つの作品内で、三人以下のキャラクターを重点的に描いていた場合”のみカウントしているのよ(話が分割されてしまっている四コマは除く)。重点的に描かれていた、というのは完全に主観になっちゃうけどね」
胡蝶「わ、わたしそんなに重点的に描かれていましたっけ?」
乃枝「“私と胡蝶ちゃん”“鏡子ちゃんと胡蝶ちゃん”“小梅さんと胡蝶ちゃん”のお話があったわね。あとは、イラストね」
巴「あら、私と鏡子は同率2位なのね」
鏡子「キャー、トモエオネエサマー!」
乃枝「小梅さんは本編の主人公だったためか、案外スポットライトは当てられなかったわね」
晶子「……どうして私が主人公のお話が無いんですの!?」
乃枝「面倒だから、次行くわね(ていうかこれ前回合同誌の話だから、そんなに引っ張りたくない)」



乃枝「さて。では今回の合同誌、全21作品(インタビュー、考証記事除く)の中で、最も描かれた回数が多かったキャラクターを発表するわよ! まず第1位は、同率でこの2人!」

第1位/小梅(17回)
第1位/巴(17回)

巴「やった! 鈴川さん! 私たちが1位だって!」
小梅「うわあ、嬉しい!」
雪「小梅さんは2連覇ね。さすが主人公、といったところかしら。ちなみにインタビューには小梅さんのイラストが載ってるから……実質、1位といってもいいわね」
乃枝「ちなみにその下は、こんな感じよ」

第3位/静(15回)
第4位/晶子(14回)
第4位/雪(14回)
第4位/環(14回)
第4位/鏡子(14回)
第4位/胡蝶(14回)

乃枝「1回差とはいえ、今回は静さんが単独3位ね」
胡蝶「ほとんど横並びですね。作家のみなさんが各々好きなように描いたのに、あまりばらつきが出ないんですね」
静「それだけ、みんなが魅力的なキャラクターだってことでしょ」

第9位/乃枝(12回)

晶子「……ちょ、ちょっと他の方々とは離されてしまいましたわね……」
乃枝「いいのよ私は。狭く深くで」

第10位/アンナ先生(10回)
第10位/記子(10回)

雪「櫻花會補助組が同率10位です」
環「脇を固める重要なキャラクターだからな」

第11位/鉄腕男子(3回)

胡蝶「アニメしか観てない人には分からないキャラクターが……」
乃枝「ちなみに男子トップよ」
環「こいつがか……」

第12位/岩崎(2回)
第12位/洋一郎(2回)

雪「バッテリーの二人に関係の深いお二方が、登場回数1回組から頭ひとつ分抜け出たわね」
晶子「べ、別にどうとも思いませんけどね……」
小梅「あれ? 確かにお父さんも私とは関係が深いけど……?」

第14位/高原、図書子、遅刻子、合唱部、三郎、吉村、朽方、静の旦那、納豆売り、告白男子、アニキ、キュゥべえ、シャルロッテ、草薙綾梅、秋川桐子、他(1回)

小梅「三郎さああああん!?」
乃枝「前回の男子1位、最下位に沈む……」
雪「しかも、唯一の登場が『へのへのもへじ』ですものね……(たぶん。カウントミスだったらスマン)」
環「知らん名前もあるな。草薙綾梅とか。てか、キュゥべえなんてどこにいたんだ?」
雪「草薙さんは、本誌を読めばわかるわ。キュゥべえは、探してみてね」
乃枝「さて、お次はメインで描かれた回数が多かったキャラランキングよ」

巴 4回
小梅 3回
晶子 3回
胡蝶 2回
鏡子 2回
環 2回
雪 2回
静 1回
乃枝 1回
合唱部 1回
綾梅 1回

小梅「今回の合同誌では、全キャラクターが一度はメインで描かれているのね」
環「偏りが出なくてよかったじゃないか」
乃枝「ちなみに『全員それなりの出番があった』という理由からカウントしてないけれど、かどきちさんの作品ではある意味では記子がメインというふうに捕らえることもできるから、番外として記子も1回メインの話があると考えてもいいでしょう」
晶子「そんな中でも巴さんが4回とトップ。さすがにアホの子は人気が高いですわね」
巴「ちょっとー、アホの子ってなによー?」

乃枝「そしてこれが、第1回第2回合同誌通しての登場回数よ」

全40作品

小梅 32
巴 31
胡蝶 29
静 27
晶子 鏡子 環 26
雪 25
乃枝 23
記子 20
アンナ 18
三郎 4
岩崎 鉄腕男子 洋一郎 3
高原 図書子 2
その他 1



小梅「今回も『大正野球娘。』への愛情が伝わってくる、素晴らしい一冊だったね」
晶子「そうですわね。ですがこうなってくると、第3弾にも期待せざるを得ませんわね」
乃枝「うーん。とりあえず、冬コミへの参加はほとんど不可能な感じだから……もしあるとするなら、来年の夏コミよね」
雪「参加者はやる気満々だけど……でも、アニメが終わってずいぶん経ちますし、漫画も連載終了、原作も完結間近と……世間ではたいやき熱は下火よね」
環「だからこそ、じゃないか。だからこそ我々が盛り上げていかなきゃいけないんだ。ファンが忘れなければ、その作品はいつまでも現役なんだ」
静「そうね。ひとまず『大正野球娘。』の同人誌プロジェクトは一旦ここで終わるけれど、それで全てが終わるわけじゃないわよね」
巴「そうそう! まだまだ公式から何か動きがあるかもしれないしね!」
鏡子「私、友達にたいやきを勧めてみます! 広めていきましょう、みんなで!」
胡蝶「みんなで盛り上げて、目指せたいやき二期、ですよね!」
小梅「うん! だって私たち、」
全員『たいやき紳士淑女は、不滅です!』





(ほんとうの、あとがき)

本当はこの座談会、夏コミ直後から書き始めていたんですよね。
そして合同誌の通販頒布開始までには間に合わせたかったんですが……ギリギリ間に合いませんでした。さぼりすぎました。すいません。
この座談会は「櫻花球宴」の感想を、私の代わりにたいやきキャラが代弁してくれるという形式のものなので、ぶっちゃけ内輪向け。でも、まあ、「櫻花球宴」を読んでくれた人がおまけ程度に楽しめる内容にもできたかなと。一応pixivにも載っけときます。

「櫻花球宴」を読んで下さった方々はもう知ってるかもしれませんが、実はこの合同誌には私の「あとがき」は載ってません。
いや、載ってはいるんだけど……まあ、「私自身の言葉」は載ってないといいますか……まあ、読めばわかります。

で、せっかくなのでこの場を借りて、ちゃんとしたあとがきを書いてみようかなって。
といっても、何かおもしろいことが書けるってわけじゃないですけど。

私が最初にこの「大正野球娘。同人誌プロジェクト」のことを知ったのは、まったくの偶然でした。
たまたまツイッター上で、たいやき合同誌のメンバーを募集している旨を知ったわけです。
で、まあ、私は結構たいやきが好きだったんで、小説でも参加できるということで、気軽に参加表明をしたわけですが。
それがまさかまさか、合同誌第2弾まで登場する……どころか第3弾も視野に入れているような(やるかどうかはわかんないけど、みんな意識している)こんな大型企画にまで成長するとは。
びっくりです。
参加者の皆さんとはツイッター上で交流させてもらいまして、本当に楽しい経験をさせていただきました。あんまりこっちからは話しかけられなくてすいません。
それにしてもたいやきファンの愛情と情熱はすごいなあ! と関心するばかりです。みんなすごいっすね!
今後も一たいやきファンとして、たいやきの二次創作を細々とやっていけたらいいなと思います。時々思い出したように、たいやきのSSとか書いていきますよ、ええ。
そういえば知ってますか? pixivの小説を「大正野球娘。」で検索すると、私の作品しか出てこないんですよ。まあ、pixivはイラストの方が主力なんで、仕方ないといえば仕方ないんですけどね。

では。もしかしたらあるのかもしれない、たいやき合同誌第3弾に期待をしつつ、ここらで筆を擱かせていただきます。
第五回口先の魔術王決定戦
タイミングを間違えたので書いてなかったのですが、「第一回フレデリカ決定戦」という賞を受賞していました。
「ひぐらしのなく頃に」を作成しているサイトの「07th Expansion」の、ユーザー主催の企画イベントの一つのことです。
それは、ひぐらしのなく頃に、の魅力の一つである、フレデリカの詩を作ってみようじゃないか、という企画主旨なわけですね。
そこで私は、こんな感じの詩を投稿しちゃったわけなんですよ。



袋小路に迷い込んだのは一匹の猫
にゃーにゃー泣いて 死にました

袋小路に迷い込んだのはニ匹の猫
にゃーにゃー泣いて 死にました

袋小路に迷い込んだのは百匹の猫
皆で壁を裂いて 逃げ出しました




まぁ何というか、団結する雛見沢精神を表した詩らしいのですが(作者も良く分かってない)、4/27の得票で、優勝してしまったわけです。
ええ、まぁ、なんと言うか、とても嬉しいですね。
詩についてはあんまり自信が無かったのですが何とか優勝しまして。



で、ですね。
それとは別に「第五回口先の魔術王決定戦」という、SSの大会にも参加が決定しまして。
そこではお題として「ジャンル」「諺」「主要キャラクター」の三つが抽選で選ばれ、それでストーリーを書くわけです。
ちょっとした三題噺ですが。

で、私のお題は以下の通り決定しておりました。

・流星群様
ホラー
『嘘つきは泥棒の始まり』
北条沙都子


うん、まぁ、ねぇ……。
主要キャラクターはとても良いくじを引いたと思います。
富田くんとか岡村くんとか校長とか前原父母とかだったら書きにくいけど、メインキャラの一人の、しかもトラップマスターだなんて、最高じゃないですか。
八重歯キャラを主要に書けるんですよ、ええ、とっても素敵じゃないですか。

で、ですが……そんな可愛い沙都子に対して「ホラー」で「嘘つきは泥棒の始まり」って……。
ああ、なんかもうドロドロのバッドエンドしか考え付きません……。
できればギャグが良かったとも言いたいけど、ミステリーになるよりはましかなとも思いつつ。

なんか諺の方でちぃとばかし難しいの引いちまったなと思います。
「嘘つきは泥棒の始まり」の意味は、
少しぐらいうそをついても、そう悪いことではないように思いがちだが、良心がくもっているのだから、やがて平気で泥棒をするようになる。
という意味らしいです。
沙都子、アンタまさか……?

でもまぁ、何とか沙都子の思うように動かしてやりたいと思います。
結果を左右するのは全て沙都子次第。
締め切りは7月中ごろなので、まだ時間はありますから。

よし!沙都子!
俺と二人三脚で、フレデリカとの二冠達成を目指そうぜ!
沙都子「オーッホッホッホ!流星さん?私にかかれば口先の魔術師なんて、お茶の子さいさいですわよ~!」

……本当にこんなんで、大丈夫なのだろうか?


07th Storming Party
[第五回口先の魔術王決定戦]の続きを読む
『ひぐらしのなく頃に』風に詩を書いてみる。
カテゴリ的に小説ではないけど………
ひぐらしのく頃にには魅力的な要素がたくさんあります。
痛快なストーリー、複雑なミステリー、華麗なキャラ。
どれを欠いてもひぐらしにはなり得ません。
そして他にも魅力的な要素が。
それは各編に設定された『詩』です。
Frederica Bernkastel

で、今日は『ひぐらしっぽく』詩(?)を書いてみました。
特にすることもなかったので、特別に。


鬼隠さない編
その者は私を嘲笑った。
そんなコトもできないのかと言って笑った。
その者は私を嘲笑った。
それが限界なのかと言って笑った。
私はその者を嘲笑わない。
私とその者は同じ人間同士。
一分の差も無いと思っているから。




綿流さない編
ごめんなさい、と誰かが言った。
私に向けてなのかどうか分からない。
ごめんなさい、と誰かが言った。
誰に向けてなのかどうか分からない。
ごめんなさい、と誰かが言った。
私はどうすればいいのか分からずに、
ただ立ちすくんでいた。




祟殺さない編
泣いている子を見た。
嘆いている子を見た。
叫んでいる子を見た。
震えている子を見た。
吐いている子を見た。
倒れている子を見た。
死んでいる子を見た。
どの子も私は見てみぬ振りをした。
そんな私の行為は罪ですか?




暇潰さない編
枯葉を食すは飛蝗。
飛蝗を食すは蟷螂。
蟷螂を食すは蛙。
蛙を食すは蝮。
蝮を食すは鷹。
では鷹を食すのは何?




目明し編
どれだけ嘆いても意味が無いとしたら、貴方はどうする?
私は嘆くことを止める。
嘆いているだけでは前に進めないから。
どれだけ嘆いても意味が無いとしたら、貴方はどうする?
私は尚も嘆き続ける。
嘆きつづけた先に光があるかもしれないから。
どれだけ嘆いても意味が無いとしたら、貴方はどうする?
私は全てを破壊する。
何もかもが消えてしまえば、嘆くコトさえなくなるから。



はい、そこ!
意味不明とか言わない!

………色々とごめんなさい。
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