夜空の日記
『夜空の日記』といっても天体観測をする日記ではありません。 漫画や小説(ラノベ)やアニメについて色々書いたり書かなかったり。
みくるちゃん観察日記(2006.5.18)
再び物語は過去へと戻り、俺とみくるちゃんが邂逅を遂げた数日後の話である。

俺は結局、なし崩し的にSOS団とかいう謎すぎる団体に入部(部?)させられることとなっていた。
聞かされた話によれば、この団は宇宙人や未来人を探しだして一緒に遊ぶのが目的でありうんぬんかんぬん。
まぁ、特に嫌なことをやらされることもなかろうと高をくくっていた俺であった。

俺の当時の個人的な女の子の趣味としては、「地味だけど明るい子」というものがあった。
ちなみに今だと「地味だけど明るい、オタクに対する偏見がない眼鏡の子」になる。
眼鏡は、あったら嬉しいな、くらいではあるが。

そういったわけで、なんというか当初みくるちゃんは俺のストライクゾーンからは微妙に外れていたのである。
むしろ長門の方が気になっていたと言ってもいいだろう。
なぜみくるちゃんがストライクゾーンから外れていたのかというと、やはり可愛すぎる子に相対すると、大抵の人間というものは萎縮してしまうものなのだろう。
アイドルに対して、大多数の人が本気で恋をしないように。
俺にとって朝比奈みくるという少女の第一印象は、大した興味もない、高嶺の花であったのだ。
高嶺の花に手を伸ばそうと思えるほどに、あの時の俺は挑戦的ではなかった。



ある日のことである。

涼宮がバニーガールの衣装を持って部室に現れた。
(部室というか本来は文芸部の部室であり、その文芸部の部員も、窓辺で本を読む長門ただ一人だけである)

健全な高校生諸君が学生生活を送る上で、バニーガールほど目にする機会のないものも、そうそうあったものじゃない。
この近くには歓楽街すらないのである。
涼宮はすぐさまみくるちゃんに飛びつくと、彼女の制服を手際よく脱がし始めた。

いくらストライクゾーンからわずかに外れているとはいえ、しかし目の前にいるのは誰もが認める美少女である。
彼女の豊満な胸を包み込むブラジャーが直接目に飛び込んできてしまった時点で、俺の思考回路はショート寸前。
かろうじてみくるちゃんの「見ないでぇ!」という叫び声が聞こえたために、わずかに残っていた自制心をフル稼働させ、ほうほうの体で部室から脱出した。
ふと横を見れば、キョンも俺と似たような感じで部室の扉に背を預け、息をついていた。

それからしばらくして部室に戻ると、見紛うことなきバニーガールがそこにいた。
胸元と背中の大きく開いた真っ赤なバニーガール衣装を着込んでおり、ほっそりとしたおみ足は網タイツに包まれ、その先には真っ赤なハイヒール。
頭上には高く両腕を挙げたかのようにしてウサギの耳が生え、腕や首まわりには染みひとつ無い透明感のあるもち肌が直に覗き、白いカラーとカフスがいいアクセントになっている。

なんて冷静に観察している俺もどうかしているが、勘弁してほしい。
年上の先輩の、露出高めなバニーガール衣装など、眼福以上の何であるというのか。

結局みくるちゃんは涼宮に連行されて、校門までビラ配りに行ってしまった。
後に残された、脱ぎ散らかされた二人分の制服は、俺とキョンの二人で畳んで片付けておいた。
本来この仕事をやってもらいたかった長門は、無言で本を読むばかりだった。



朝比奈みくるという少女に対して、他の女子とは違う感情を抱いたのは、果たしていつだったか。
或いはこの件がきっかけだったのかもしれないが、違うのかもしれない。
もしこの件がきっかけだったのだとしたら、少々動機が不純すぎるような気もするのだが、それは仕方ないことだ。



……いや、違う。

朝比奈みくるという少女を意識するに足るきっかけは、もうひとつあったのだ。

あれは確か、バニーガール事件から更に数日後のことになる……。

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