夜空の日記
『夜空の日記』といっても天体観測をする日記ではありません。 漫画や小説(ラノベ)やアニメについて色々書いたり書かなかったり。
みくるちゃん観察日記(2006.5.15)
俺とみくるちゃんの出会いの話をしようと思う。



あれは4年も前のことになる。
俺は当時高校一年生で、みくるちゃんは高校二年生だった。
まだ学校にやっと慣れたかなというような時期の俺は、部活にも入らず、ただ毎日を浪費するだけの日々を送っていた。

ゴールデンウィークが明けて、少しした頃のことである。

帰宅部所属で放課後フリータイムだった俺は、たまたま担任教師から仕事を頼まれた。
曰く、この教材をどこどこの部屋に運んでおいてくれ、と。
面倒だと思いはしたが、教師に逆らうほど嫌な仕事でもないと判断した俺は、それを承諾した。

運ぶ先は1棟と呼ばれる校舎で(全部で4棟ある)、そこの物置化している空き教室に教材を運ぶのが、俺に課せられたミッションだった。
放課後特有の喧騒をどこか遠くのもののように感じながら、俺は目的の部屋にたどり着き、何の迷いもなく部屋の扉を開けた。

「……ん?」

室内には、人が三人いた。

どういうことだ空き教室なんじゃなかったのか、とぐるぐる思考が巡る。
ふと視線を上げると、その教室のプレートが目に入った。

……どうやら俺はしくじったらしい。
俺が扉を開けてしまったのは、言われていた部屋の隣の教室だった。

なんというヘマ。
俺はどれだけ適当に行動していたのか。

「ええと、何か……?」

室内にいた三人の内の一人が、俺に言った。
平凡な外見をした男子生徒だった。

ここで、

「あ、す、すすいません……間違えました(←吃り気味)」

と言ってさっさと帰ってしまえば、あるいは俺の人生は大きく変わっていたのではないだろうか。
しかし現実はそうはいかなかった。
いや、そうはいかせてもらえなかったのだ。

「あ、す、すす」
「何、あんた? 入部希望者?」

ゆっくりと後退っていた俺の体を、後ろから止める者があった。
それは我が校の制服を身にまとった(当たり前だ。学内である)女子生徒だった。
肩のあたりで切り揃えられた黒い髪にカチューシャつけて、この上なく整った目鼻立ち、意志の強そうな大きくて黒い目を異常に長いまつげが縁取り、薄桃色の唇を固く引き結んだ女(後にキョンという人物から聞いた、彼がこの人物を初めて見たときに感じたという印象をそのまま引用してみた。まったく、彼女のことをよく表した描写であるといえよう)。
えらい美人がそこにいた。

その美人は俺に返事をする暇も与えず、背中を叩いて教室内に押し入れた。

「これは丁度いいわね。あなたで5人目、部として認められる最低ラインに辿り着いたわ。本来我がSOS団に入るためには、それ相応の入団試験をパスする必要があるのだけれどね。まぁ、いいわ。創部後、真っ先にここを訪れたその熱意を評価してあげるわ」
「は、はあ……」

よくしゃべる女だな、という印象を受けたこの女は、涼宮ハルヒと名乗った。
聞くところによると、なんと同級生話である。
こんな超弩級戦艦みたいな圧力を感じさせる女が同級生!

「まあまあ、ゆっくりしてってね!」

と言う彼女に、半ば無理矢理椅子に座らされた俺は、混乱しつつも、なんとか教室内を見渡すだけの心の余裕はあった。

涼宮ハルヒの隣に立って、「おいおい、また勝手に他人を巻き込むんじゃない」「なに言ってるの、こいつが自分から来たんじゃない」と言い争っているのは、先ほど入り口から見た男だ。
室内に居る男は、俺を除けばそいつだけだった。

次に目についたのは、窓際の席に座る女子生徒。
彼女は室内への闖入者である俺には目もくれず、分厚いハードカバーの本を、黙々と読み込んでいた。
短い髪に、眼鏡をかけている。
ある意味異常なレベルともいえる眼鏡っ子好きな俺の好感レーダーは、ちょっとだけ彼女に反応した。

そして最後。

テーブルを挟んで向こう側。

軽くうつむきながらもこちらへと意識を向けているのが分かる、小柄な少女。
染めているのか地毛なのかは知らないが、栗色の髪はふわふわと軽くウェーブがかって、背まで届くほど。
守ってあげたい衝動に駆られる小動物的美少女が、そこにはいた。

朝比奈みくる。
彼女はそこにいた。

何やら怪しげな団体が占拠している文芸部部室で、俺とみくるちゃんは邂逅したのであった。



(続かない)
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