夜空の日記
『夜空の日記』といっても天体観測をする日記ではありません。 漫画や小説(ラノベ)やアニメについて色々書いたり書かなかったり。
みくるちゃん観察日記(2011.2.14)
世の中に絶対なんてない、とはよく言われる話であり、実際大部分の面ではそうなのだろうが、世の中にはどんなものにも例外と呼ばれるものがある。
たとえば2月14日の話だ。
これは節分の日の恵方巻きと双璧を成す、歴史が浅いにも関わらず日本中に認知されている伝統行事の行われる日だ。
まぁ、世に言うバレンタインデーである。

世の中には、バレンタインデーであるからといって好意を寄せる男子や親しい女子に対して、チョコレートを送らない女子もいるだろう。
だから、「バレンタインデーに女子は絶対にチョコレートを渡すもの」という『絶対』は成り立つものではない。
しかし事象を事細かに限定してしまえば……「絶対に」とまでは言えなくとも、限りなく絶対に違い確率でいえることがひとつある。

「バレンタインデーに、みくるちゃんは俺にチョコレートをくれる」

まぁ、自明の理であろう。

付き合い始めてから何度目の冬だかは忘れたが(大した数は越していない)、バレンタインデーには必ずチョコレートをくれるのである。

そのため今年も例に違わず、みくるちゃんは2月14日に、俺を彼女の自宅に呼び出した。
(春休みに入ってからは連日お邪魔しており、呼び出されたも何も無いような気はした)



世の男性諸君が女性にチョコレートを渡されるというシチュエーションでだいたい妄想するのは、

「プレゼントは、あ・た・し

あるいは、

「あたしを、食・べ・て

みたいなところだろう。

妄想力が過ぎると、身体にチョコレートを塗りたくっている女の子を妄想する。
が、塗れる程度に溶けているチョコレートってけっこう熱いので、それは妄想だけの話だろう。
チョコレートは塗っていないにしても、全裸にリボンを包装して……という感じの妄想は、たぶんpixivを中心にしていらしてイラストが横行しているような気がする。
が、1人で自分をリボンで包むのって割りと重労働な気がするし、つーかそもそもバレンタインにそんな体の張り方はいらないような気がするし、人によっては軽く引くくらいに下品だし、まぁ、結局妄想に過ぎない。

ぶっちゃけ、実際にそんな風(全身にチョコレート、全裸にリボンで包装)にされたら、どんなリアクションをすればいいのか、逆に困る。
だからアレは全て妄想の産物である。

そんなわけでみくるちゃんの話に戻る。
今日の彼女は、ピンクのタートルネックのセーターに(限りなくどうでもいい話だが、みくるちゃんはセーターが死ぬほど似合う)、ベージュのズボン(パンツと言うのか? ファッション用語が分からない)という出で立ちである。

いつもの如く駄弁っていると、おもむろにみくるちゃんは台所へ。
(ちなみにみくるちゃん宅はアニメ版『みなみけ』(もちろん無印)の南家に似ている。一人では広いが、しょっちゅう俺もいるし、元々は両親を含めた三人暮らしなのだから、あれでいいのだろう)

そして戻ってきたみくるちゃんの手には、包装紙できれいにくるまれた物体が。

「……まだ貰ってないのに、嬉しそうだね」

おっと顔に出ていたか。

「まだ、あげるとは一言も言ってないんですけどね」

「えっ、くれないの!?」

みっともなく狼狽える俺。
そんな俺の醜態を見て、みくるちゃんはクスリと苦笑した。

「ふふ。冗談ですよ。もちろん、あなたにあげます」

みくるちゃんは俺に向かって、包装紙で飾られたチョコレートを差し出してきて。

「好きだよ」

とくん。

ガラにもなくオトメチックな擬音を使って、恥ずかしいことこの上ないのだが、そうとしか表現できない音が、俺の胸から聞こえてきて。
俺は気恥ずかしさを隠すように、

「は、はは。改めて言われると、照れるな」

なんておどけて言って、彼女からの贈り物を受け取った。

世の男達のくだらない妄想みたいなもんじゃない。
ただ、シンプルなプレゼントと、言葉が、

何よりも心に響いて、

なんだかとても泣きそうになってしまった。

だから

「ありがとう」

としか言えなかった、俺の言葉も。

みくるちゃんの胸の奥に、俺の言葉にすることのできなかった想いごと、しっかりと届いていればいいなと、思うのだった。

いや、伝わっているはず。

だってみくるちゃんは、俺が「ありがとう」と言ったときに。

確かに、笑ってくれていたのだから。
スポンサーサイト




コメント
▼この記事へのコメント<(あれば表示)

■ コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

▼この記事へのトラックバック(あれば表示)