夜空の日記
『夜空の日記』といっても天体観測をする日記ではありません。 漫画や小説(ラノベ)やアニメについて色々書いたり書かなかったり。
もしも長文キャラが学園ラノベになったら
 一条春香にとっての急務は、演劇部の部員を増やすことにあった。
「演劇部っつーか、演劇同好会っすよね? ウチの学校、部員が5人以上いないと、部活として登録されないっすし」
「う、うっさいわね……」
 級友である二階小梅の言葉を受けた一条は、彼女を一睨みしつつも、その言葉を否定することはできなかった。
 なぜならば一条の所属する演劇部には、彼女以外の部員が誰もいないのである。つまり部員一名。二階の言う、部活動として認められるための条件を満たせていないのである。そして当然、学校に提出されている部活動関係書類にも、しっかりと「演劇同好会」と書かれているのだった。
 ああ、と一条は溜め息のような声を漏らした。
「さらば栄光の演劇部よ……。あたしは演劇部が部だったことを忘れないわ」
「大げさっすねえ」
 二階に苦笑されながら、一条は手元の紙に書かれている「演劇部」の文字を「演劇同好会」に訂正した。部員募集のポスターのつもりだったのだが、紙面には文字しか書かれておらずおもしろ味が無い。更に、二重線で消された「部」の一文字が余計に哀愁を誘うことに気付き、一条は自らの気分がズブズブと沈んでいくことに気が付いた。
「はあ」
 と、一条は今度ははっきりそうと受け取れる溜め息をつく。
 そんな彼女の姿を横で見る二階は、このなんとも晴れぬ表情を演劇の場でで表現できていたら、きっと演劇部のプラスになるのに、と思った。
 一条は普段はとても表情豊かな少女なのだが、それが演技となると、途端に大根役者に成り下がる。そんな、ちょっともったいない演劇部……否、同好会員なのであった。

(おわり)
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